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海洋散骨の費用と法律|5段階の手順と2社の料金、16市町村の条例

海洋散骨の費用と法律 お墓・埋葬・葬儀
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海に遺骨をまくのに、役所の許可は要るのでしょうか。

答えは「国の許可制度はない」です。ただ、許可が要らないことと、どこでも自由にまいてよいことは別の話。国の二つのガイドラインと、16の市町村が定めた条例が、まいてよい場所とやり方を細かく縛っています。

申し込みから散骨証明書を受け取るまでを5つの段階に分け、それぞれの段階でかかるお金と、守るべき決まりを並べました。料金は実際に公開されている2社の掲載額で示します。

申し込みから散骨証明書まで、5つの段階

業者に頼む場合、流れはどの会社でもほぼ同じです。違いが出るのは「誰が船に乗るか」と「粉骨を料金に含めるか」の2点だけ、と言ってもいいくらいでした。

海洋散骨の流れ(業者に頼む場合)
海洋散骨の流れ(業者に頼む場合)
段階ごとの目安
  • ①
    家族で決める
    故人の希望の有無、全部まくか一部を手元に残すか、誰が立ち会うかを話し合う。
  • ②
    業者を選ぶ
    約款が公開されているか、費用の明細書を契約書に付けるかを確かめる。
  • ③
    契約・遺骨を預ける
    契約は書面で。火葬時の埋葬許可証など、遺骨の身元を示す書類の写しを求められることが多い。
  • ④
    粉骨
    遺骨と分からない大きさまで砕く。お墓から出した遺骨は洗浄・乾燥が加わる。
  • ⑤
    散骨当日と証明書
    家族が乗船するか、業者に任せるか。終わったら散骨証明書を受け取る。

国のガイドラインは、散骨事業者に対して、約款を整えて公表すること、契約を文書で結ぶこと、費用の明細書を契約書に添えること、散骨後に散骨証明書を交付することを求めています。

出典: 厚生労働省『散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)』(2021年)

“違法ではない”の中身を、法律ごとに分けてみる

「海洋散骨は合法」と書かれることがよくありますが、散骨を正面から認めた法律はありません。正確には、関係する法律のどれにも、節度ある散骨を罰する規定がない、という状態です。

法律・指針散骨との関係読者が気にすべき点
墓地、埋葬等に関する法律 4条焼骨の「埋蔵」は墓地以外で行ってはならない。散骨は埋蔵に当たらないと解されている地面に埋めれば散骨ではなく埋蔵になる
刑法 190条(遺骨遺棄罪)遺骨を遺棄した者は3年以下の拘禁刑節度をもって葬送として行う限り処罰の対象にならないと解されている
厚生労働省 散骨ガイドライン(2021年)事業者向け。場所・粉骨・契約・証明書の決まり業者選びの物差しになる
国土交通省 海事関係法令の解説(2023年)客を乗せる散骨船は海上運送法の許可・登録が要る業者の船が登録済みかを聞く
市町村の条例・指針16市町村が条例で散骨や散骨場を規制散骨する海域の地元ルールを確認

出典: 一般財団法人地方自治研究機構『散骨を規制する条例』(2026年4月1日更新)/墓地、埋葬等に関する法律/刑法 第190条

刑法の解釈について、1998年に旧厚生省の懇談会がまとめた報告書は「相当な節度をもって行なう場合は、散骨を処罰の対象とすることはできないと解されている」と書いています。1991年に当時の法務大臣が記者会見で「節度をもって行われる限り問題はない」と述べたともされますが、地方自治研究機構は、法務省がこれを公式文書で示したものは確認できないと整理しています。

出典: 一般財団法人地方自治研究機構『散骨を規制する条例』(2026年4月1日更新)

厚生労働省のガイドラインが事業者に守るよう求める法令は、墓地埋葬法、刑法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、海上運送法、民法の5つと、地方公共団体の条例やガイドラインです。編集部の読みでは、副葬品を海に投げ入れれば廃棄物の問題に、客を乗せる船は海上運送法の問題に、漁業者や周りの土地への迷惑は民法上の責任の問題に、それぞれつながっていきます。

出典: 厚生労働省『散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)』(2021年)

つまり「節度」の中身は、ガイドラインと地元の決まりで埋めていくしかありません。

改葬許可はどうか。お墓から遺骨を取り出して散骨する場合、厚生労働省は散骨に改葬許可は必要ないという見解を示しています。もっとも、墓石の撤去や寺との話し合いは別に進める必要があり、自治体によっては取り出す時点で書類を求めるところもあります。

出典: 総務省東北管区行政評価局『墓じまいに関する情報収集結果』別添1

お墓を片付けてから散骨する流れは墓じまいの費用と手順で、お寺との関係を整理する手順は檀家をやめる手順と離檀料で扱っています。

3つの方式と、2社の公開料金で見る費用

散骨の費用について、国や自治体がまとめた統計は見当たりませんでした。そこで、料金を公式サイトに載せている業者のうち2社の掲載額を並べます。あくまで2社の例であって、全国の相場ではありません。

方式ブルーオーシャンセレモニー(東京)海洋散骨オーシャンズ向いている人
代行(委託)散骨55,000円+粉骨33,000円29,700円(粉骨・送骨込み)立ち会わなくてよい、費用を抑えたい
合同乗船散骨165,000円(土日祝187,000円)+粉骨。2名まで、3人目から1名16,500円掲載なし少人数で立ち会いたい
貸切(チャーター)散骨297,000円(土日祝352,000円)+粉骨家族散骨264,000円(粉骨込み)/出航地を指定する直葬散骨198,000円(8名まで追加料金なし)家族だけで見送りたい

出典: ブルーオーシャンセレモニー 代行委託散骨・合同乗船散骨・チャーター散骨/海洋散骨オーシャンズ 料金プラン(いずれも各社公式サイト、2026年11月1日確認・税込)

2社の公開料金を粉骨込みでそろえた比較
出典: 各社公式サイト(2026年11月1日確認・税込)

グラフは、粉骨代を別に取る会社の金額に粉骨代33,000円を足して並べ直したものです。合同乗船はオーシャンズに該当するプランがないため外しました。表の数字だけを見るとオーシャンズの代行散骨はブルーオーシャンセレモニーの半額近くですが、含まれるものを揃えると差はさらに広がります。

編集部は、見積もりを比べるときは「粉骨込みか」「送骨の往復送料が入るか」「土日祝の割増があるか」の3つを最初にそろえることをすすめています。ここがそろっていない比較は、ほとんど意味がありません。

お墓から出した遺骨は、もう一手間かかる

長くお墓に納められていた遺骨は、湿気を含んでいることが多く、粉骨の前に洗浄と乾燥が要ります。ブルーオーシャンセレモニーの料金表では、洗浄16,500円、乾燥16,500円がそれぞれ1柱ごとに加わります。オーシャンズは粉骨サービスの中に洗浄・乾燥料を含めると記載していました。

出典: ブルーオーシャンセレモニー 代行委託散骨・合同乗船散骨・チャーター散骨/海洋散骨オーシャンズ 料金プラン(いずれも各社公式サイト、2026年11月1日確認・税込)

墓石の撤去費や寺へのお礼は散骨業者の料金とは別です。お墓の片付けまで含めた総額は、お墓・埋葬の種類と費用で他の埋葬方法と比べられます。

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樹木葬・永代供養・納骨堂の違いと相場は お墓・埋葬の種類と費用相場 にまとめています。

「どこまで沖へ出るか」は、国・業界・市で違う

国のガイドラインは、海の場合「海岸から一定の距離以上離れた海域」とだけ書き、距離は地理条件や利用状況に応じて決めるとしています。数字を出しているのは業界団体と、一部の市です。

定めた主体距離の基準そのほかの決まり
厚生労働省ガイドライン海岸から一定の距離以上(数値なし)焼骨は形が分からない粉状に。プラスチック・ビニールの副葬品は投下しない
日本海洋散骨協会人が立ち入れる陸地から1海里(約1.85km)以上粉骨は1〜2mm程度。フェリーや遊覧船では散骨しない。漁場・養殖場・航路を避ける
熱海市(2015年)市内の土地(初島を含む)から10km以上夏期は控える。水溶性の袋で投下。「熱海沖」「初島沖」と宣伝しない
伊東市(2016年)市内の陸地から6海里(約11.11km)以内では散骨しない業者だけでなく散骨を行う人にも適用。「伊東沖」と宣伝しない

出典: 厚生労働省『散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)』(2021年)/出典: 一般社団法人日本海洋散骨協会『日本海洋散骨協会ガイドライン』(2021年8月一部改定)/出典: 熱海市『熱海市海洋散骨事業ガイドライン』(2015年7月1日)/出典: 伊東市『伊東市における海洋散骨に係る指針』(2016年2月1日)

熱海市のガイドラインは、初島を含む市内の土地から10km以上離れた海域での散骨を求めている

熱海市も伊東市も、温泉と海を目当てに人が訪れる観光地です。両市の文書は、無秩序な散骨で風評被害が生じ、町のイメージが損なわれることへの心配をはっきり書いています。散骨する側から見ると、「〇〇沖で散骨」と書いた案内を地元がどう受け止めるか、という視点は持っておきたいところ。

静岡や神奈川の海で考えている人は、静岡県の神社・お寺や神奈川県の神社・お寺で地域の社寺をたどりながら、その土地の空気を知っておくのも一つの方法です。

散骨そのものを禁じている町もある

地方自治研究機構の整理では、2026年4月1日時点で散骨を規制する条例は16市町村にあります。中身は4つに分かれ、最も多いのは散骨場の経営を許可制にするタイプでした。

散骨を規制する16市町村の条例の内訳
出典: 一般財団法人地方自治研究機構『散骨を規制する条例』(2026年4月1日更新)

海に関係が深いのは、宮城県松島町の条例が「何人も、みだりに焼骨を散布してはならない」と定めている点と、神奈川県三浦市の条例が公共水域などでの散骨の禁止を規定している点です。三浦市の条例は2025年1月の施行で、規制は今も広がっています。

出典: 一般財団法人地方自治研究機構『散骨を規制する条例』(2026年4月1日更新)

東京湾か相模湾か、出航地で何が変わる?

首都圏で散骨を考える人の多くは、東京湾か相模湾のどちらかから船を出すことになります。出航地の違いは、料金と、守るべき地元の決まりの両方に表れます。

料金の面では、同じ会社でも港によって金額が変わります。ブルーオーシャンセレモニーの場合、代行散骨は東京55,000円に対して横浜60,500円、合同乗船散骨は東京165,000円に対して横浜181,500円でした。貸切散骨は東京297,000円を基準に、ほかの海域をA〜Dの4区分に分け、平日363,000円から440,000円までの料金を載せています。

出典: ブルーオーシャンセレモニー 代行委託散骨・合同乗船散骨・チャーター散骨/海洋散骨オーシャンズ 料金プラン(いずれも各社公式サイト、2026年11月1日確認・税込)

海洋散骨オーシャンズは、平塚新港、葉山港、真鶴港、横浜、三笠桟橋(横須賀市)などを出航地として挙げ、江ノ島沖での散骨も案内しています。定額制で追加費用はかからないと明記している点は、見積もりを比べるうえで分かりやすい材料です。

出典: ブルーオーシャンセレモニー 代行委託散骨・合同乗船散骨・チャーター散骨/海洋散骨オーシャンズ 料金プラン(いずれも各社公式サイト、2026年11月1日確認・税込)

決まりの面では、相模湾の西側、静岡県に入ると熱海市と伊東市の基準がかかります。三浦半島の三浦市には、2025年施行の条例で公共水域などでの散骨を禁じる規定ができました。港が神奈川県内でも、散骨する海域がどの市の沖合に当たるかで話が変わるわけです。

出典: 一般財団法人地方自治研究機構『散骨を規制する条例』(2026年4月1日更新)

業者に聞くべきことは単純で、「どの港から出て、どの市の沖で、陸から何km離れた所でまくのか」。この三つに即答できない業者は、私たちなら選びません。

あとから揉めやすい3つの場面

全部まいてしまい、手を合わせる場所がなくなる

日本海洋散骨協会のガイドラインは、故人の生前の希望が確認できず、申込者が親族でもない場合、全量を散骨しないよう助言するよう加盟事業者に求めています。理由として、将来ほかの遺族が墓や手元供養を望んだときのトラブルを挙げていました。

出典: 一般社団法人日本海洋散骨協会『日本海洋散骨協会ガイドライン』(2021年8月一部改定)

一部を小さな骨壺に残す「分骨」は、多くの業者が対応しています。残した遺骨の行き先として、納骨堂の費用と種類や樹木葬のデメリットと後悔しやすい場面もあわせて考えておくと、親族の反対があっても話をまとめやすくなります。

船の安全と保険を確かめていなかった

国土交通省は2023年9月、海上で散骨する事業者が守るべき海事関係の法令を整理しました。客を乗せる場合は海上運送法の対象で、旅客定員13名以上の船は許可、12名以下の船は登録が要ります。船客損害賠償保険への加入も条件です。

出典: 国土交通省『海上において散骨をする場合において遵守すべき海事関係法令の解説』(2023年9月20日)

日本海洋散骨協会は、一人あたり3,000万円以上の船客賠償保険に入った船を使うよう加盟事業者に求めています。見積もりの段階で「どの運輸局に登録している船か」「保険はいくらか」を聞いて、すぐ答えが返ってくる業者なら安心材料になるでしょう。

出典: 一般社団法人日本海洋散骨協会『日本海洋散骨協会ガイドライン』(2021年8月一部改定)

キャンセル料を読んでいなかった

散骨は天候で日程が動きます。ブルーオーシャンセレモニーの規定では、実施予定日の8日前までの解約は事務手数料11,000円、7日〜3日前は代行散骨11,000円、合同散骨は費用の30%と定めています。天候による延期と、自己都合の解約の扱いが分けて書かれているかを確かめてください。

出典: ブルーオーシャンセレモニー 代行委託散骨・合同乗船散骨・チャーター散骨/海洋散骨オーシャンズ 料金プラン(いずれも各社公式サイト、2026年11月1日確認・税込)

自分で船を出して散骨することも、法律で禁じられてはいません。ただし伊東市の指針のように個人にも適用される地元ルールがあり、漁業者とのトラブルも起こりえます。編集部は、初めての散骨なら業者に頼む方を選びます。

契約までに手元にそろえるもの

書類・ものどんなときに要るかどこで手に入るか
埋葬許可証(火葬許可証に火葬済みの証印があるもの)の写し火葬後の遺骨を散骨するとき火葬後に火葬場から返却される
改葬許可証などの写し業者や墓地側から求められたとき(散骨自体に許可は不要)墓地のある市区町村
申込書・同意書どの業者でも業者が用意
申込者の本人確認書類どの業者でも運転免許証など
分骨用の小さな骨壺一部を手元に残すとき業者・仏具店

出典: 総務省東北管区行政評価局『墓じまいに関する情報収集結果』別添1

散骨のあとも、位牌を作って家で手を合わせる人は少なくありません。位牌の作り方と費用も参考にしてください。お寺の墓地に納めていた場合は、寺院墓地と檀家の関係を読んでから住職に相談すると話が進めやすくなります。

ここが気になる

Q
散骨した場所に、あとでお参りに行けますか?
A

日本海洋散骨協会のガイドラインは、遺族が希望すれば散骨した場所の緯度・経度を示した散骨証明書を交付し、その情報を10年間保管するよう加盟事業者に求めています。その海域へ船で向かう「メモリアルクルーズ」を用意している業者もあり、オーシャンズの掲載額は143,000円からでした。

Q
海に花やお酒を流してもいいのですか?
A

厚生労働省のガイドラインは、プラスチックやビニールを原材料とする副葬品の投下を禁じています。日本海洋散骨協会も、花はラッピングを外し、自然に還るものだけを海へ、という立場。熱海市は、粉にした遺骨を水溶性の袋に入れて海面へ投下するよう定めています。

Q
ペットの遺骨と一緒にまけますか?
A

法律上の決まりはなく、業者の判断です。ブルーオーシャンセレモニーはペットの粉骨を16,500円で受けると料金表に載せていました。合同散骨では他の家族も乗船するため、事前に業者へ伝えておくのが礼儀です。

判断の目安

費用だけで選ぶなら代行散骨、立ち会いたいなら合同か貸切。ここまでは迷わないはずです。

本当に迷うのは「全部まくか」の一点でしょう。私たちは、親族の中に一人でも迷っている人がいるなら、一部を残しておく方を選びます。海にまいた遺骨は戻せませんが、残した遺骨は後からいつでもまけるからです。

散骨以外の選択肢も並べて比べたい人は、お墓・埋葬の種類と費用、千葉県で永代供養ができるお寺、山形県で永代供養ができるお寺もどうぞ。東京湾周辺で考えている人は東京都の神社・お寺も入口になります。

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樹木葬・永代供養・納骨堂の違いと相場は お墓・埋葬の種類と費用相場 にまとめています。

参考・出典

参照日: 2026年11月1日

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全国の神社・お寺のデータベースを運営し、御朱印・参拝作法・年中行事・お墓・葬儀のマナーを、神社本庁・各宗派・寺社公式・自治体の情報にもとづいて解説しています。

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