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寺院墓地とは?檀家の費用5項目と離檀の手順、公営・民営との違い

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お寺の境内にお墓を建てても、その土地が自分のものになるわけではありません。払うのは「区画を使い続ける権利」の代金で、厚生労働省(当時は厚生省)の指針も、使用料を「墓地の使用権を取得するために必要な料金」と説明しています。

そしてもう一つ、お寺の墓地には多くの場合「檀家になる」という約束がついてくる。墓石の値段より、こちらのほうが長い付き合いになります。

ここでは寺院墓地の位置づけを国の指針と統計で確かめたうえで、檀家としてかかるお金、向いている人と向かない人、そして檀家をやめたくなったときの手順までを順に見ていきます。出典: 厚生省生活衛生局長通知『墓地経営・管理の指針等について』(2000年)

国の指針が分ける4種類の墓地

国の「墓地経営・管理の指針」は、墓地を次の4つに分けて説明しています。地方公共団体が経営する公営墓地、寺院に檀家のために設置された寺院墓地、公益法人や宗教法人が経営する宗旨宗派を問わない事業型墓地、そしてそれ以外の墓地です。

寺院墓地とは、檀家のために設けられた墓地

寺院墓地の説明に「檀家のために」と書かれている点が、ほかの墓地との一番の違いです。指針は寺院墓地について「寺院と檀家という宗教による特殊な結びつき」があると書き、事業型墓地向けに作った標準契約約款をそのまま当てはめるものではない、という扱いをしています。

出典: 厚生省生活衛生局長通知『墓地経営・管理の指針等について』(2000年)

種類経営する主体宗教・宗派申込の窓口
公営墓地都道府県・市町村問われない自治体の募集(抽選・居住要件が多い)
寺院墓地そのお寺(宗教法人)そのお寺の宗派。檀家になるのが前提のことが多いお寺(住職)
事業型墓地(民営霊園)宗教法人・公益法人問わないのが一般的霊園の管理事務所・販売を受託する会社
それ以外の墓地集落・個人など地域の慣習による地域・所有者
墓地の4分類(厚生省『墓地経営・管理の指針等について』の区分をもとに編集部が整理)

ややこしいのは、お寺が経営していても「宗旨宗派不問」をうたう区画がある点です。経営主体が宗教法人なら、許可の上では同じ宗教法人の墓地。ところが中身は、檀家のための寺院墓地と、誰でも申し込める事業型墓地とでまったく違います。申込前に「この区画は檀家になる前提か」を確かめる必要があるのはこのためです。

たとえば名古屋市中村区の願隆寺(名古屋市中村区)は、宗旨宗派を問わない永代供養墓について、檀家としての強制的な寄付や義務は発生しないと公式サイトで明記しています(出典: 願隆寺『永代供養墓』)。同じ「お寺のお墓」でも、一般墓の区画と永代供養墓とで条件が分かれている例です。詳しくは愛知県で永代供養ができるお寺で紹介しています。

お寺が経営する墓地は全国に5万8,700区域

厚生労働省の衛生行政報告例によると、2024年度末の全国の墓地は876,042区域。このうち宗教法人が経営する墓地は58,700区域で、地方公共団体の30,024区域のほぼ2倍あります。

経営主体墓地(区域)割合納骨堂(施設)
個人721,64782.4%—(区分なし)
その他65,2347.4%2,734
宗教法人58,7006.7%10,244
地方公共団体30,0243.4%760
公益社団・財団法人4370.05%115
合計876,042100%13,853
経営主体別の墓地・納骨堂数(令和6年度末)。割合は数値から編集部が算出

出典: 厚生労働省『衛生行政報告例』令和6年度 第5表(e-Stat)

数のうえで最も多いのは「個人」に分類される墓地で、全体の8割を超えます。ただ、新しく区画を申し込める墓地として現実に選択肢に上がるのは、宗教法人・地方公共団体・公益法人の墓地です。指針も、墓地の経営主体は市町村などの地方公共団体が原則で、それが難しい場合でも宗教法人か公益法人等に限るとしています。営利企業が経営主体になることは適当でない、という考え方も示されています。

出典: 厚生省生活衛生局長通知『墓地経営・管理の指針等について』(2000年)

経営主体別の墓地数(個人・その他を除く/令和6年度末)
出典: 厚生労働省『衛生行政報告例』令和6年度 第5表

「宗教法人の墓地」の中には、檀家のための寺院墓地も、宗旨宗派不問の事業型墓地も含まれています。統計からはその内訳までは分かりません。

檀家になると、何にいくら払うのか

檀家とは、特定のお寺に所属し、葬儀や供養をそのお寺に任せ、お布施で寺院を支える家のことです。石材店の全国団体である全優石は、寺院にお墓がある場合は檀家になっている可能性が高い、と説明しています。

墓地の使用料(永代使用料)と墓石代は、公営墓地や民営霊園でもかかる費用です。寺院墓地で上乗せになるのは、下の表の「檀家として」の部分になります。

費用払う時期目安(全優石の説明)性格
入檀料檀家になるとき10万〜30万円初期費用。地方・宗派で差がある
位牌堂の費用位牌を安置するとき10万円程度別途必要になる場合
護持会費・維持費毎年年5千〜2万円(月500〜1,500円程度)墓地の清掃管理・寺院の運営
寺院行事のお布施彼岸会・盂蘭盆会・施餓鬼会など1回3千〜1万円程度合同法要に参加するとき
改築時の負担金本堂などの修繕時決まった額はない寄付。払わなければならない決まりはないようだ、と全優石
寺院墓地で檀家になった場合の費用(全優石の説明をもとに編集部が整理。実際の額はお寺ごとに異なる)

出典: 全優石(全国優良石材店の会)『檀家と費用』『「檀家になる」って具体的にはどんなこと?』

葬儀や法要のお布施も、檀家であれば菩提寺に納めることになります。全優石が示す目安は、通夜・葬儀の読経や供養で15万〜50万円、一周忌・三回忌などの法要で3万〜10万円、月命日の読経で5千〜1万円です。お布施は本来お礼であって定価はない、とも添えています。

出典: 全優石(全国優良石材店の会)『檀家と費用』『「檀家になる」って具体的にはどんなこと?』 年忌ごとの金額は四十九日のお布施の相場・一周忌のお布施の相場、葬儀全体の費用は家族葬の費用相場でも整理しています。

指針は、使用料と管理料の2本立ては慣習としてそれなりに合理性があるとしつつ、それ以外に様々な名目で料金を追加してはならない、とも書いています。寺院墓地で見積もりをもらったら、使用料・管理料と、檀家としてのお布施や会費を分けて書いてもらうのが確実です。

出典: 厚生省生活衛生局長通知『墓地経営・管理の指針等について』(2000年)

寺院墓地のデメリットは「お金」より「縁が続くこと」

寺院墓地の難しさとしてよく挙がるのは、宗派の制約、檀家としての費用、石材店を自由に選べないことの3つです。

  • 宗派:檀家になる以上、葬儀・法要はそのお寺の宗派の作法で営むのが前提。宗派を変えたい家族がいると話がこじれやすい
  • 費用の見通し:入檀料・護持会費・行事のお布施・修繕時の寄付と、名目が多く、総額を事前に出しにくい
  • 石材店:お寺によっては出入りの石材店が決まっている。相見積もりが取れるかは契約前に確認したい

石材店について、指針は気になる例も挙げています。石材店などの営利企業が寺院に墓地経営をもちかけ、実際の販売はその会社が行い、トラブルの責任はお寺に押しつける――いわゆる「名義貸し」です。経営主体のお寺が、墓地の運営に実際に関わっているかどうかは見ておきたい点です。

出典: 厚生省生活衛生局長通知『墓地経営・管理の指針等について』(2000年)

一方で、寺院墓地ならではの良さもはっきりしています。全優石は、お盆などの繁忙期でも檀家の法要は優先されやすいこと、法要を一括で頼めること、わからないことを住職に相談できることを挙げています。お墓が境内にあるので、墓地の管理に住職の目が行き届くのも利点です。

出典: 全優石(全国優良石材店の会)『檀家と費用』『「檀家になる」って具体的にはどんなこと?』

編集部の考え:寺院墓地のいちばんの負担は金額そのものより、数十年続く「お寺との関係」を次の世代に引き継ぐことです。継ぐ人が決まっていない家は、一般墓の区画より、同じお寺の永代供養墓や納骨堂から検討したほうが無理がありません。

永代供養墓の仕組みは永代供養の仕組みと費用、屋内型の比較は納骨堂の費用と種類を参考にしてください。

寺院墓地が向いている家、向かない家

こんな家なら寺院墓地公営墓地民営霊園(事業型)
菩提寺があり、葬儀・法要を任せたい◎△(読経は別途手配)△(宗派不問だが寺は別に探す)
宗教・宗派を問わずに建てたい△(宗旨宗派不問の区画なら可)◎◎
費用の総額を事前に固めたい△(お布施・寄付は事前に読みにくい)◎○
継ぐ人が決まっていない△(永代供養墓なら可)○(合葬式墓地がある自治体も)○
すぐ申し込みたい○(空きがあれば随時)△(募集時期・抽選あり)◎
墓地の種類ごとの向き不向き(編集部の評価。各墓地の条件で変わる)

私たちは、すでに付き合いのあるお寺があって、葬儀から年忌法要まで一つのお寺に任せたい家には寺院墓地をすすめます。逆に、宗派にこだわりがなく、子どもに負担を残したくないことが一番なら、公営墓地か宗旨宗派不問の霊園から見たほうが選びやすいと考えています。ここは家ごとの事情で答えが変わるところです。

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樹木葬・永代供養・納骨堂の違いと相場は お墓・埋葬の種類と費用相場 にまとめています。

申し込む前に住職に聞いておくこと

寺院墓地の選び方は、条件の比較より「聞くべきことを聞けるか」で決まります。見学のときに確認したい項目を、費用・決まりごと・将来の3つに分けました。

分類聞くこと理由
費用入檀料・護持会費の額、修繕時の寄付の過去の例毎年の負担と、まとまった出費の可能性が分かる
費用使用料と管理料に含まれるもの、ほかに払う名目があるか指針も使用料・管理料以外の名目追加を戒めている
決まりごと檀家になる必要があるか、宗派が違っても入れるか区画によって条件が違うことがある
決まりごと石材店の指定があるか、相見積もりはできるか墓石代に大きく影響する
将来管理料が払えなくなった場合・継ぐ人がいなくなった場合の扱い「永代使用」でも実際は管理料が続く限りの契約がある
将来改葬(お墓の引っ越し)のときの手続きとお布施の考え方離檀のときにもめないため
寺院墓地の見学・相談で確認したい項目

出典: 厚生省生活衛生局長通知『墓地経営・管理の指針等について』(2000年)

指針は、「永代使用」と表示しながら実際には管理料を払い続ける間だけ権利が続く契約もある、と注意しています。使用期限と契約解除の条件は書面でもらいましょう。お寺の雰囲気は、お参りの作法を押さえて実際に足を運ぶと分かります(お寺の参拝作法とお焼香の手順)。近くのお寺は東京都の神社・お寺・大阪府の神社・お寺・愛知県の神社・お寺などの一覧から探せます。

「檀家をやめたい」と思ったら|離檀と改葬の流れ

お寺の墓地にお墓があるまま、檀家だけやめることは通常できません。全優石は、お寺からお墓を移したり撤去したりして檀家を離れることを「離檀」と呼び、改葬(お墓の引っ越し)とセットで説明しています。

出典: 全優石『離檀とは』

改葬は増え続けています。厚生労働省の統計では、全国の改葬件数は2022年度151,076件、2023年度166,886件、2024年度176,140件。2年で2万5千件ほど増えた計算です。

出典: 厚生労働省『衛生行政報告例』令和6年度・令和5年度 第6表、『墓地、埋葬等に関する法律に係る行政の仕組み』(令和4年度)

全国の改葬件数の推移
出典: 厚生労働省『衛生行政報告例』第6表・『墓地、埋葬等に関する法律に係る行政の仕組み』

改葬には市町村長の許可が必要で、墓地の使用者以外が申請するときは使用者の承諾が要ります。お寺には、改葬許可申請書への証明や埋蔵証明書の発行をお願いすることになります。だからこそ、黙って進めるのではなく先に住職へ相談するのが筋です。

出典: 厚生労働省『墓地、埋葬等に関する法律に係る行政の仕組み』/全優石『離檀とは』

離檀と改葬の流れ(編集部作成。手続きの細部は市区町村ごとに異なる)
離檀と改葬の流れ(編集部作成。手続きの細部は市区町村ごとに異なる)
離檀までの目安スケジュール(例)
  • 3〜6か月前
    家族の合意と移転先探し
    誰が改葬を申請するか、遺骨をどこへ移すか(永代供養墓・納骨堂・自宅近くの墓地)を決める
  • 2〜3か月前
    住職への相談
    改葬の理由を伝え、閉眼供養の日取りや撤去工事の段取りを相談する
  • 1〜2か月前
    書類をそろえる
    お寺の埋蔵証明(市区町村が求める場合は移転先の受入証明も)をそろえ、改葬許可を申請する
  • 当日
    閉眼供養と遺骨の取り出し
    お布施を納め、石材店が墓石を撤去して区画をお寺に返す
  • その後
    新しい納骨先へ
    改葬許可証を新しい墓地・納骨堂に提出して納骨する

時期は編集部が想定した目安で、改葬先の空き状況や石材店の工事日程によって前後します。

離檀料は「法要1回分程度」が目安とされる

全優石は、離檀料はもともと使われていなかった言葉で、本来はそれまでの感謝と手続きへのお礼として包むお布施だと説明しています。金額に決まりはなく、一般的には法要1回分程度が目安。閉眼供養や読経と合わせて10万〜20万円程度が相場といわれる、としています。

出典: 全優石『離檀とは』

法律で決まった料金ではありません。想定よりかなり高い額を求められたときは、その場で払わずに何に対するお金なのか内訳を尋ね、家族と相談してから返事をしてかまいません。

墓石の撤去費や改葬の全体像は墓じまいの費用と手順にまとめています。

寺院墓地と檀家、ここが気になる

Q
寺院墓地に入るには、必ず檀家にならないといけませんか?
A

一般墓の区画は檀家になるのが前提というお寺が多いものの、宗旨宗派不問の永代供養墓や納骨堂を設け、檀家の義務を求めないお寺もあります(例: 名古屋市の願隆寺)。区画ごとに条件が違うので、申込前に住職へ確認してください。

Q
宗派が違うと、お寺の墓地への納骨を断られますか?
A

墓地埋葬法第13条は、墓地の管理者は埋葬・埋蔵の求めを正当な理由なく拒んではならないと定めています。ただ、寺院墓地は檀家のための墓地という性格があり、法要の作法などはお寺の宗派に従うのが前提です。宗派の違いがあるなら、契約前に話しておくのが無難です(出典: e-Gov法令検索『墓地、埋葬等に関する法律』)。

Q
護持会費を払わずにいると、お墓はどうなりますか?
A

国の指針は契約の形の一つとして、管理料が払われなくなって一定期間(例として3年)たつと使用権が消滅し、納骨堂や合葬墓に移す定めを挙げています。寺院墓地の扱いはお寺の規則によるので、使用規則を書面で確認しておきましょう。

Q
檀家・信徒であることを証明してもらうことはできますか?
A

お寺の檀家であることを公的に証明する全国共通の制度は、ここでは確認できませんでした。改葬のときにお寺に頼むのは「埋蔵の事実」の証明で、檀家かどうかの証明ではありません。必要な場面があれば、提出先とお寺の両方に書式を確認してください。

参考・出典

参照日: 2026年10月21日

お墓・埋葬・葬儀
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全国の神社・お寺のデータベースを運営し、御朱印・参拝作法・年中行事・お墓・葬儀のマナーを、神社本庁・各宗派・寺社公式・自治体の情報にもとづいて解説しています。

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