「お賽銭は5円がいちばん縁起がいい」。初詣の時期になると毎年のように聞く話ですが、全国の神社をまとめる神社本庁は、お賽銭として正式に決められた額はないとしています。
語呂合わせは楽しみの一つにとどめて構いません。それより気にしてほしいのは、賽銭箱の前での動きと、小銭をどれだけ持っていくかです。後者は語呂の話より実際的で、1円玉の詰め合わせが社寺の負担になることもあります。
金額の決め方、語呂の一覧、入れ方の順番、そして小銭が手元に少ない時代の考え方まで、神社本庁と各社寺・金融機関の公開資料をもとに整理しました。(出典: 神社本庁『お賽銭の今と昔』)
「5円がいい」に、神社側の裏付けはない
神社本庁の『お賽銭の今と昔』には、「ご縁(5円)がありますように」「始終ご縁(45円)がありますように」と入れる人がいることに触れたうえで、正式に決められた額はなく、額や語呂ではなく気持ちを込めて供えることが大事だ、と書かれています。
つまり5円でも、100円でも、1,000円でも構わない。神社の側がわざわざ書いているくらいなので、語呂を気にして財布の中を探し回る人がそれだけ多いのでしょう。
では、何を基準に決めればいいのか。編集部は「その日の参拝にかける気持ちを、無理のない額で」と考えています。年に一度の初詣なら普段より少し多め、通りがかりに手を合わせるなら手元の小銭で。額に正解がないぶん、決め方は自分で持っておくと迷いません。
出典: 神社本庁『お賽銭の今と昔』
お賽銭の額に決まりはない(神社本庁)。語呂合わせは俗説として楽しむ程度でよく、気にすべきは「入れ方の丁寧さ」と「硬貨の枚数」。
お米の「おひねり」から硬貨へ、お賽銭のなりたち
神社本庁によると、お賽銭の意味や起源には諸説があります。もともと御神前には海や山の幸が供えられ、なかでもお米は特別なお供えとされ、白紙で包んだ「おひねり」としても納められました。
秋に刈り入れた米を神さまに供えて実りに感謝する。その延長に「おひねり」があり、貨幣が広く使われるようになってから、お米の代わりに金銭も供えるようになった、という流れです。金銭をお賽銭箱に入れるのが一般的になったのは、そう古いことではないとも書かれています。
賽銭箱にお金を投げ入れる動作については、土地の神さまへのお供えや、祓いの意味があるともいわれる、と神社本庁は紹介しています。ただし感謝の気持ちとして供えるものなので、入れるときは丁重な動作を心がけるとよい、という書き方です。
出典: 神社本庁『お賽銭の今と昔』
現在でもお米を供える人はいる、とも同じページにあります。お米でも金銭でも、感謝の気持ちに変わりはない。お賽銭を「料金」ではなく「お供え」と考えると、金額の悩みはだいぶ軽くなります。
| 時代の流れ | 供えたもの | 神社本庁の説明 |
|---|---|---|
| もともと | 海の幸・山の幸 | 御神前に供えられた |
| お米を特別視 | お米(白紙で包む「おひねり」) | お米は特別なお供えと考えられた |
| 貨幣の普及後 | お米の代わりに金銭も | 金銭を供えるのが一般的になったのは古いことではない |
| 現在 | 金銭が中心(お米を供える人もいる) | どちらも感謝の気持ちに変わりはない |
出典: 神社本庁『お賽銭の今と昔』
語呂合わせの金額、よく聞くものを並べてみると
それでも「どうせなら縁起のいい額にしたい」という気持ちはわかります。よく耳にする語呂を一覧にしました。いずれも神社や寺が定めたものではなく、世間で言われている言葉遊びです。
| 金額 | 言われている語呂 | 硬貨の枚数 | 編集部の見方 |
|---|---|---|---|
| 5円 | ご縁がありますように | 1枚 | 定番。持っていれば十分 |
| 11円 | いいご縁 | 2枚 | 1円玉を用意する必要がある |
| 15円 | 十分ご縁 | 2枚 | 10円玉が入るが気にしなくてよい |
| 25円 | 二重にご縁 | 3枚 | 家族連れで分けやすい |
| 45円 | 始終ご縁 | 5枚 | 神社本庁のページにも例として登場 |
| 115円 | いいご縁 | 3枚 | 100円玉が入り、額としても少し上乗せ |
| 485円 | 四方八方からご縁 | 8枚以上 | 枚数が多く、混雑時は手間取りやすい |
出典: 神社本庁『お賽銭の今と昔』(5円・45円の語呂と、額に決まりがないこと)
反対に、10円は「遠縁」、65円は「ろくなご縁がない」、500円は「これ以上の効果(硬貨)がない」として避ける人もいます。どれも駄洒落で、神社側が避けるよう求めているものではありません。
編集部の考えを一つ。語呂のために1円玉や5円玉を何枚も集めるくらいなら、手元にある100円玉1枚のほうが、賽銭箱の前で手間取らず、後ろに並ぶ人にもやさしい。語呂を選ぶなら、5円か115円のように枚数が少ないものにしておくと実用的です。
「115円」や「485円」のような細かい額をそろえる手間は、次の章で触れる硬貨事情を知ると少し見え方が変わります。お守りやおみくじで小銭を使う予定があるなら、おみくじの順番と結ぶ・持ち帰るの判断やお守りは複数持っていい?も合わせて読んでおくと、当日の財布の準備がしやすくなります。
5円玉は、もう新しくほとんど作られていない
「ご縁の5円」を用意しようとして、財布に1枚もないことに気づく。キャッシュレス払いが増えた今、珍しいことではありません。造幣局の『年銘別貨幣製造枚数』を見ると、その背景が数字で出てきます。
5円玉の製造枚数は1990年(平成2年銘)に約5億2,095万枚。2000年は約903万枚、2020年は約2,953万枚と増減しながら、2022年以降は毎年50万枚前後にとどまっています。1円玉も1990年の約27億6,895万枚から、2020年以降は年40万〜80万枚台です。
| 年銘 | 1円玉 | 5円玉 | 100円玉(参考) |
|---|---|---|---|
| 1990年(平成2年) | 2,768,953 | 520,953 | 444,953 |
| 2000年(平成12年) | 12,026 | 9,030 | 172,026 |
| 2010年(平成22年) | 7,905 | 510 | 67,905 |
| 2015年(平成27年) | 82,004 | 105,004 | 410,004 |
| 2020年(令和2年) | 528 | 29,528 | 453,428 |
| 2022年(令和4年) | 574 | 574 | 293,274 |
| 2023年(令和5年) | 463 | 463 | 192,927 |
| 2024年(令和6年) | 511 | 511 | 163,827 |
| 2025年(令和7年) | 595 | 595 | 104,071 |

新しい5円玉が少ないから、お賽銭に5円を使ってはいけない、という話ではありません。手元にあれば使えばよく、なければ別の硬貨で何の問題もない。ここで言いたいのはその一点です。
御朱印帳・参拝グッズを探す
お寺用・神社用の使い分けや選び方は本文で解説しています。
1円玉の山は、受け取る側に手数料がかかることも
財布にたまった1円玉を、初詣でまとめて賽銭箱へ。すっきりするし功徳にもなりそうですが、受け取る側の事情も見ておくと判断が変わります。
ゆうちょ銀行は2022年1月17日から窓口で硬貨の取扱料金を設けました。現在の料金表では、硬貨100枚までは無料、101〜500枚で550円、501〜1,000枚で1,100円、それ以降は500枚ごとに550円が加算されます。ATMで硬貨を伴う預け入れをする場合は、別にATM硬貨預払料金がかかります。
| 窓口に持ち込む硬貨の枚数 | 硬貨取扱料金 |
|---|---|
| 1〜100枚 | 無料 |
| 101〜500枚 | 550円 |
| 501〜1,000枚 | 1,100円 |
| 1,001枚以上 | 500枚ごとに550円を加算 |
出典: ゆうちょ銀行『その他の料金』、ゆうちょ銀行 報道発表(2021年7月2日)
たとえば1円玉500枚、額にして500円分を銀行に預けようとすると、窓口では550円の料金がかかる計算です。納めた額より手数料のほうが高い。極端な例ですが、1円玉の山は「気持ち」としては同じでも、社寺にとっては扱いの重い寄付になり得ます。
もう一つ、法律の目安もあります。通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律第7条は、硬貨は額面価格の20倍まで法貨として通用すると定めています。お店の支払いで同じ硬貨を21枚以上出すと、受け取りを断られても仕方がない、という決まりです。
出典: e-Gov法令検索『通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律』(第7条)
お賽銭は支払いではないので、この条文がそのまま当てはまるわけではありません。ただ、同じ硬貨は20枚まで、という感覚は一つの目安になります。私たちは、硬貨は数枚まで、まとまった額を納めたいなら紙幣にする、という考え方をとっています。
賽銭箱の前で、どの順番で動く?
金額が決まったら、次は動き方です。神社本庁の『参拝方法』では、参拝の前に手水で心身を清め、拝礼は「再拝(礼)・二拍手・一拝(礼)」を基本形としています。お賽銭を入れるのは、拝礼の前です。鳥居や参道での振る舞いは鳥居のくぐり方と参拝の作法にまとめています。

手水は、右手で柄杓を取って左手を洗い、左手に持ち替えて右手を洗い、もう一度右手に持ち替えて左手に水を受けて口をすすぎます。柄杓に直接口をつけない、水盤に水を戻さない、という注意も神社本庁のページに書かれています。
拝礼は、背中を平らにして腰を90度に折る深いお辞儀を2回。胸の高さで両手を合わせ、右の指先を第一関節ほど下にずらして2回打ちます。指をそろえて祈り、最後にもう一度深くお辞儀をする。神社によって独自の拝礼を伝えている所もあり、その場合は各神社の作法に従うよう案内されています。
出典: 神社本庁『参拝方法』
お賽銭の入れ方は、投げるよりも、賽銭箱の手前でそっと手を離すくらいが落ち着きます。神社本庁が「丁重な動作を」と書いているのはこの部分です。混雑した初詣で、後ろから遠投するのは避けたいところ。前の人の頭越しに投げた硬貨が当たる事故を防ぐ意味でも、近づけるまで待つほうが安全です。
出典: 神社本庁『お賽銭の今と昔』
お寺では拍手をしない
お寺では手を打たず、静かに合掌します。たとえば浅草寺(東京都台東区)は、参拝の際には合掌して「南無観世音菩薩」と唱えるよう案内しています。唱える言葉はご本尊や宗派によって変わるので、境内の掲示を見てから手を合わせると安心です。(出典: 浅草寺『よくあるご質問』)
| 場面 | 神社 | お寺 |
|---|---|---|
| お賽銭のタイミング | 拝礼の前 | 合掌の前 |
| 手の動き | 二拍手(音を立てる) | 合掌(音を立てない) |
| お辞儀 | 再拝・一拝(深いお辞儀) | 合掌の前後に一礼 |
| 唱える言葉 | 特になし(心の中で) | ご本尊に応じて(浅草寺は「南無観世音菩薩」) |
出典: 神社本庁『参拝方法』、浅草寺『よくあるご質問』。お寺での一礼は一般的な作法として記載。詳しくはお寺の参拝作法と神社とお寺の違いへ
初詣の混雑した賽銭箱の前で、困らないために
初詣の人出が多い社寺では、本殿や本堂の前に長い列ができます。明治神宮(東京都渋谷区)の初詣案内では、大晦日から元日にかけて終夜お参りでき、例年、大晦日22時〜元日3時と、三が日の10時以降が混み合うとしています。
出典: 明治神宮『初詣』(例年の案内。最新の時間は年末に公式で確認を)
- 家を出る前硬貨を別にしておく財布とは別に、ポケットや小袋に入れておくと列の先頭で慌てない
- 並んでいる間額を決めておく家族の分をまとめるか、一人ずつ入れるかもここで決める
- 賽銭箱の前近づいてから納める投げずに、手前でそっと手を離す
- 拝礼のあと横によけて移動長く留まらず、お守りや御朱印の列へ
三が日を外して松の内に参拝するのも一つの方法です。時期の考え方は初詣はいつまで?松の内と参拝作法で整理しています。地方の初詣先を探しているなら、千葉県の初詣おすすめ神社・お寺や山形の初詣おすすめ2027もどうぞ。大晦日の夜から出かけるなら除夜の鐘をつけるお寺 東京・千葉が参考になるはずです。
お賽銭まわりの、細かい疑問
- Qお札を入れるときは、封筒やのし袋に包んだほうがいいですか?
- A
神社本庁のページには、包み方の決まりは書かれていません。むき出しのお札を賽銭箱に入れても失礼にはあたらないと編集部は考えますが、丁寧にしたいなら白い封筒に入れる人もいます。ご祈祷を受けるときの初穂料は別で、こちらはのし袋に包むのが一般的です。書き方は初穂料ののし袋の書き方にまとめています。
- Qお賽銭を投げ入れるのはマナー違反ですか?
- A
神社本庁は、投げ入れることには土地の神さまへのお供えや祓いの意味があるともいわれる、と紹介したうえで、感謝の気持ちなので丁重な動作を心がけるとよいとしています。禁止ではありませんが、遠くから放るより、近づいて静かに入れるほうが気持ちが伝わります。
- Q電子マネーやQRコードでお賽銭を納められますか?
- A
対応しているかどうかは社寺ごとに違います。今回、公式の案内として確認できた例を挙げられなかったため、ここでは特定の社寺名は書きません。現地の賽銭箱や社務所の掲示に決済方法が出ていれば、それに従ってください。現金を少し持っていくのがいちばん確実です。
- Q喪中のときの初詣でも、お賽銭を入れていいですか?
- A
お賽銭そのものに喪中の決まりはありませんが、参拝してよいかどうかは神社とお寺で考え方が分かれます。忌中の目安と判断の仕方は喪中に初詣は行ける?で詳しく扱っています。
- Q家族で行くとき、お賽銭は一人ずつ入れますか?
- A
決まりはありません。一人ずつ手を合わせるなら、それぞれ少額を持たせると子どもにとっても参拝の経験になります。混雑時は代表者がまとめて入れ、全員で拝礼しても失礼にはあたらないと編集部は考えています。
額より先に、決めておくこと
お賽銭の額に正解はなく、語呂は遊びとして楽しめば十分です。準備しておきたいのは、硬貨を数枚だけ別にしておくこと、賽銭箱の前で丁寧に入れること、そして神社とお寺で手の動きを変えること。この3つさえ押さえれば、初詣で迷う場面はほとんどなくなります。厄年に当たる人は厄年早見表2027で年齢を確かめてから出かけると、ご祈祷を受けるかどうかも決めやすくなります。
正月の準備全体については門松・しめ縄はいつから飾る?、参拝のあとに授かったものの扱いはお守りの返納方法や御朱印のもらい方とマナーもあわせてどうぞ。初詣先の候補として、神田神社(神田明神)、鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)、住吉大社(大阪市住吉区)、太宰府天満宮(福岡県太宰府市)の各ページでは所在地や基本情報をまとめています。
御朱印帳・参拝グッズを探す
お寺用・神社用の使い分けや選び方は本文で解説しています。
参考・出典
- 神社本庁『お賽銭の今と昔』(お賽銭の由来・投げ入れの意味・額に決まりがないこと)
- 神社本庁『参拝方法』(手水と拝礼の作法)
- 浅草寺『よくあるご質問』(合掌と唱える言葉)
- 明治神宮『初詣』(初詣期間の開門時間と混雑時間帯)
- ゆうちょ銀行『その他の料金』(窓口の硬貨取扱料金)
- ゆうちょ銀行 報道発表『お客さまへの安定的なサービス提供に向けた料金の見直し・新設のお知らせ』(2021年7月2日)(2022年1月17日新設)
- e-Gov法令検索『通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律』(第7条 法貨としての通用限度)
- 造幣局『年銘別貨幣製造枚数【令和7年銘】』(1円・5円・100円の製造枚数)
参照日: 2026年10月23日
