年越の大祓(としこしのおおはらえ)は、12月の終わりに神社で行われる「1年の後半の穢れを祓う」神事です。結論から言うと、やることは3つだけ。①人形(ひとがた)に名前と年齢を書き、体を撫でて息を吹きかけて神社に納める ②茅の輪が立っていれば3回くぐって参拝する ③大祓式に参列する(参列しなくても人形を納めれば祓ってもらえる神社が多い)です。
ただし、年越の大祓は夏越(6月)の大祓に比べて情報が少なく、神社によって「茅の輪を立てない」「大祓式が12月30日」「人形の受付は12月から」など違いが大きいのが実情です。この記事では神社本庁の解説と、実際に年越の大祓を行っている神社の公式案内をもとに、作法・人形の出し方・日程の調べ方を整理します。
この記事のポイント:年越の大祓は12月31日(神社によって30日)。人形は12月に入ってから授与所で受け取り、当日の受付締切までに納めます。茅の輪は「年越は設置しない」神社もあるので、行く前に公式サイトで確認しましょう。
年越の大祓とは|1年に2回ある「大祓」の12月の回
神社本庁によると、大祓は「常に清らかな気持ちで日々の生活にいそしむ」よう、心身の穢れや災厄の原因となる罪・過ちを祓い清める行事です。古事記や日本書紀に見られる伊邪那岐命(いざなぎのみこと)の禊祓(みそぎはらえ)を起源とし、宮中でも古くから行われ、中世以降に各神社の年中行事として広まりました。
大祓は年に2回行われ、6月の大祓を「夏越(なごし)の祓」、12月の大祓を「年越の祓」と呼びます。年越の祓は「新たな年を迎えるために心身を清める祓い」と位置づけられています。神事では神職が大祓詞(おおはらえことば)を奏上し、人の形に切った白紙などの人形を用いて、半年間に身についた穢れを祓います。
出典: 神社本庁『大祓』(2026年10月参照)
夏越の大祓と年越の大祓の違い
同じ「大祓」でも、6月と12月では行事の雰囲気や神社の運用が少し違います。公式案内で確認できた範囲で比べると次のとおりです。
| 項目 | 夏越の大祓(6月) | 年越の大祓(12月) |
|---|---|---|
| 時期 | 6月30日(月末) | 12月31日(大晦日)。神社によって30日 |
| 意味 | 上半期の穢れを祓い、夏を健康に過ごす | 下半期の穢れを祓い、新しい年を清らかに迎える |
| 茅の輪 | 多くの神社で設置 | 設置する神社としない神社がある(例:石清水八幡宮は年越に茅の輪くぐりなし) |
| 唱え詞 | 「水無月の夏越の祓する人は千歳の命のぶというなり」 | 神社ごとの案内に従う(夏越の唱え詞は6月のもの) |
| 人形の受付 | 6月 | 12月(例:石清水八幡宮は12/1〜12/31) |
| あわせて行うこと | 水無月(和菓子)を食べる風習など | 大掃除・正月飾り・初詣の準備と重なる |
出典: 神社本庁『大祓』(2026年10月参照)/出典: 石清水八幡宮『大祓神事のご案内』(2024年12月1日掲載・2026年10月参照)
年末は除夜の鐘はなぜ108回?や初詣はいつまで?松の内と参拝作法など行事が続きます。1年の流れは神社・お寺の年間行事カレンダーにまとめています。
年越の大祓はいつ?2026年は12月31日(木)が基本
年越の大祓は12月の晦日(みそか)に行う行事で、多くの神社は12月31日に大祓式を行います。2026年の12月31日は木曜日です。ただし、神社によっては30日に行うところもあります。例えば鳩森八幡神社(東京都渋谷区)は、夏越の大祓を6月30日、年越の大祓を12月30日に行うと案内しています。
出典: 鳩森八幡神社『夏越の大祓・年越の大祓』(2026年10月参照)
時刻は午後に行う神社が多く、2025年は次のような日程でした。2026年の日程は各神社が12月ごろに発表するため、下の表は「前年の実施例」として参考にし、必ず最新の案内を確認してください(2026年10月時点)。
| 神社(所在地) | 大祓式の日時(2025年) | 茅の輪 | 人形(形代)・授与品 |
|---|---|---|---|
| 香取神宮(千葉県香取市) | 12月31日 午後3時(本宮) | 本宮・奥宮の2か所に大晦日の午前中まで設置 | 形代・茅の輪守り 初穂料500円(大祓受付) |
| 鳩森八幡神社(東京都渋谷区) | 12月30日 午後3時 | 6月・12月に社殿前に設置 | 形代を境内で配布。12月30日までに持参 |
| 五所神社(神奈川県湯河原町) | 12月31日 午後3時 | あり(左・右・左と3回くぐる) | 参加無料 |
| 石清水八幡宮(京都府八幡市) | 12月31日 午後4時(南総門前 祓所) | 年越は茅の輪くぐりなし | 人形の申込は12月1日〜31日。初穂料を添えて授与所へ |
出典: 香取神宮『年越しの「茅の輪」を設置いたしました』(2025年12月9日)/出典: 鳩森八幡神社『夏越の大祓・年越の大祓』(2026年10月参照)/出典: 五所神社(神奈川県湯河原町)『2025年(令和7年)12月31日 大祓・茅の輪くぐり 午後3時』(2025年12月1日)/出典: 石清水八幡宮『大祓神事のご案内』(2024年12月1日掲載・2026年10月参照)
同じ県の神社を探すときは、千葉県の神社・お寺一覧・東京都の神社・お寺一覧・神奈川県の神社・お寺一覧・京都府の神社・お寺一覧から氏神さまや近くの神社の公式サイトをたどると早く見つかります。
茅の輪はいつからいつまで立っている?
茅の輪の設置期間も神社ごとに違います。香取神宮は2025年12月9日のお知らせで年越の茅の輪の設置を告知し、「大晦日(午前中)まで」設置するとしていました。大祓式の当日でも、午後には撤去されていることがあるので、茅の輪をくぐりたい人は大晦日の午前中まで、できれば12月中旬〜30日の間に参拝すると安心です。
出典: 香取神宮『年越しの「茅の輪」を設置いたしました』(2025年12月9日)
茅の輪くぐりの作法|3回くぐってから参拝する
神社本庁は、神社によっては茅や藁を束ねた茅の輪を神前に立て、これを3回くぐって穢れや災い、罪を祓い清めると説明しています。くぐり方の具体的な手順は神社によって案内が異なりますが、石清水八幡宮(夏越)や五所神社(湯河原町)は「左・右・左」と3回くぐる方法を案内しています。
出典: 神社本庁『大祓』(2026年10月参照)/出典: 石清水八幡宮『大祓神事のご案内』(2024年12月1日掲載・2026年10月参照)/出典: 五所神社(神奈川県湯河原町)『2025年(令和7年)12月31日 大祓・茅の輪くぐり 午後3時』(2025年12月1日)

- 茅の輪の前で一礼する:鳥居をくぐるときと同じように、軽く頭を下げてから進みます
- 左・右・左と3回くぐる:1回目は左回り、2回目は右回り、3回目は左回りで、8の字を描くように元の位置へ戻ります
- くぐり終えたら本殿へ:茅の輪から本殿へ進み、いつもどおり参拝します
- 境内の掲示を優先する:回る順番や回数を独自に定めている神社もあります。掲示や神職の案内に合わせましょう
本殿での参拝方法は鳥居のくぐり方や神社とお寺の違いも参考にしてください。
御朱印帳・参拝グッズを探す
お寺用・神社用の使い分けや選び方は本文で解説しています。
年越でも「水無月の〜」と唱える?
茅の輪くぐりの唱え詞としてよく知られる「水無月の夏越の祓する人は千歳の命のぶというなり」は、神社本庁が「特に夏越の大祓では」と説明しているとおり、6月の夏越の祓の言葉です。石清水八幡宮も、6月の茅の輪くぐりの際にこの言葉を唱えながらくぐるよう案内しています。
出典: 神社本庁『大祓』(2026年10月参照)/出典: 石清水八幡宮『大祓神事のご案内』(2024年12月1日掲載・2026年10月参照)
年越の大祓で決まった唱え詞があるかどうかは、今回調べた公式案内では確認できませんでした。12月に茅の輪をくぐるときは、境内に唱え詞が掲示されていればそれに従い、掲示がなければ心の中で1年の無事への感謝と新年の無病息災を念じながらくぐれば十分です。分からないことは授与所で尋ねるのがいちばん確実です。
人形(ひとがた・形代)の書き方と出し方
大祓の中心は、人の形に切った紙「人形(ひとがた)」に穢れを移して神社に祓ってもらうことです。神社によって「形代(かたしろ)」とも呼びます。石清水八幡宮の案内では、次の手順で申し込みます。
- 手順1名前と年齢を書く授与所で受け取った人形に、自分の名前と年齢を記入します。
- 手順2体を撫でる体の悪いところ(特になければ肩など)を人形で撫でます。
- 手順3息を3回吹きかける心を込めて人形に3回息を吹きかけ、罪・けがれを人形に移します。手順2と3の順番に決まりはありません。
- 手順4封筒に入れて納める封筒の裏に名前・住所を書き、初穂料を添えて授与所に納めます。
- 手順5お札を受け取る石清水八幡宮では大祓神事の後、破邪疫魔除のおふだ「疫神斎(えきじんさい)」が届きます。玄関先にお祀りします。
出典: 石清水八幡宮『大祓神事のご案内』(2024年12月1日掲載・2026年10月参照)
石清水八幡宮は「②③の順番に決まりはありません。地域により異なりますので、お受けになられる神社の方法に倣ってください」と案内しています。人形の扱いは神社ごとに違うので、受け取った人形や封筒に書かれた説明を読んでから記入しましょう。
家族の分はどうする?人形はいくつもらう?
人形には名前と年齢を書くため、家族の分も受けたい場合は何体必要かを授与所で伝えます。頒布の数や初穂料は神社によって違います。香取神宮は形代と茅の輪守りを初穂料500円で大祓受付で頒布していました(2025年)。家族全員分をまとめて納めたいときは、受け取るときに人数を伝えて確認しましょう。
出典: 香取神宮『年越しの「茅の輪」を設置いたしました』(2025年12月9日)
いつまでに、どこへ納める?
人形は大祓式の当日までに、その神社へ納めるのが原則です。鳩森八幡神社は「穢れを移した形代は12月30日までに当社にお持ちください」、石清水八幡宮は年越大祓の申込期間を12月1日〜31日としています。大祓式の直前は受付が締め切られることもあるため、年末の大掃除の前後、早めに納めておくと安心です。
出典: 鳩森八幡神社『夏越の大祓・年越の大祓』(2026年10月参照)/出典: 石清水八幡宮『大祓神事のご案内』(2024年12月1日掲載・2026年10月参照)
遠方で行けないときは郵送できる?
郵送対応は神社次第です。石清水八幡宮は、遠方に住んでいるなど授与所での申し込みが難しい場合は社務所に連絡するよう案内し、毎年申し込んでいる人には12月上旬に郵送で案内を送るとしています。鳩森八幡神社は、氏子崇敬会員には形代を直接または郵送で配っています。郵送を希望する場合は、11月末〜12月上旬に神社へ問い合わせると間に合いやすいでしょう。
出典: 石清水八幡宮『大祓神事のご案内』(2024年12月1日掲載・2026年10月参照)/出典: 鳩森八幡神社『夏越の大祓・年越の大祓』(2026年10月参照)
納めた人形はどうなる?
納めた人形は大祓式で祓い清められます。鳩森八幡神社では、その後「形代流し」という神事で祓い清めるとしており、2026年7月の夏越では東京都大祓形代流し連合会主催の神事で祓い清めたと報告しています。人形は自分の身代わりとして穢れを引き受けるものなので、自宅で捨てたり持ち帰ったりせず、必ず神社に納めましょう。
出典: 鳩森八幡神社『夏越の大祓・年越の大祓』(2026年10月参照)
年越の大祓を年末の予定に組み込むコツ
年越の大祓は、大掃除・正月飾り・除夜の鐘・初詣と時期が重なります。慌てないように、12月の予定と一緒に段取りを決めておきましょう。
| 時期 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 11月末〜12月上旬 | 氏神さまや行きたい神社の年越の大祓の案内を確認 | 日付(30日か31日か)・時刻・茅の輪の有無・郵送の可否 |
| 12月上旬〜中旬 | 授与所で人形を受け取る | 家族の人数分。初穂料を用意 |
| 12月中旬〜30日 | 人形に記入して納める/茅の輪をくぐって参拝 | 茅の輪は大晦日の午前中で撤去される例あり |
| 12月28日ごろまで | 正月飾り・神棚のお札の準備 | 詳しくは正月飾りはいつまで?片付けと処分方法・神棚のお札の祀り方と交換の時期 |
| 12月31日 午後 | 大祓式に参列(任意) | 15〜16時開始の例が多い。参列無料の神社も |
| 12月31日 夜〜1月 | 除夜の鐘・初詣 | 除夜の鐘はなぜ108回?・初詣はいつまで?松の内と参拝作法 |
出典: 香取神宮『年越しの「茅の輪」を設置いたしました』(2025年12月9日)/出典: 鳩森八幡神社『夏越の大祓・年越の大祓』(2026年10月参照)/出典: 石清水八幡宮『大祓神事のご案内』(2024年12月1日掲載・2026年10月参照)/出典: 五所神社(神奈川県湯河原町)『2025年(令和7年)12月31日 大祓・茅の輪くぐり 午後3時』(2025年12月1日)
大祓と別に、厄年の人は年明けに厄除け・厄払いを受けるのが一般的です。時期や料金は厄払いの料金・服装・時期、自分が厄年かどうかは厄年早見表2027年版で確認できます。古いお守りの扱いはお守りの返納方法・お守りは複数持っていい?を参考にしてください。
年越の大祓で失敗しないための注意点
- 日付を思い込まない:31日とは限りません。鳩森八幡神社のように30日に行う神社もあります
- 茅の輪がない年越もある:石清水八幡宮のように、12月は茅の輪くぐりを行わない神社があります。茅の輪が目的なら事前に確認を
- 茅の輪の茅を抜いて持ち帰らない:茅の輪は神前に立てる祭具です。持ち帰りたい人は授与所で「茅の輪守り」を受けましょう(香取神宮・石清水八幡宮などで授与)
- 人形は期限までに納める:当日の大祓式の前に受付を締め切る神社があります
- 茅の輪をくぐって終わりにしない:くぐった後は本殿で参拝します
- 喪中の人は神社に相談を:喪中・忌中の参拝の考え方は喪中に初詣は行ける?で解説しています
出典: 香取神宮『年越しの「茅の輪」を設置いたしました』(2025年12月9日)/出典: 石清水八幡宮『大祓神事のご案内』(2024年12月1日掲載・2026年10月参照)
年越の大祓で清めたあとは、新年の御朱印をいただきに行くのもおすすめです。初めての人は御朱印のもらい方とマナーを読んでから出かけましょう。節分の厄除けについては節分の厄除けは神社とお寺どちら?で紹介しています。
年越の大祓・茅の輪のよくある質問
- Q年越の大祓は誰でも参加できますか?
- A
多くの神社で、氏子でなくても参加できます。石清水八幡宮は「大祓神事当日はどなたでもご参列できます」と案内し、当日の申し込みも受け付けています。湯河原町の五所神社は2025年の大晦日の大祓・茅の輪くぐりを「ご参加無料」としていました。
- Q大祓式に参列しないと意味がありませんか?
- A
人形を納めておけば、大祓式で神職がまとめて祓い清めてくれる神社があります。石清水八幡宮では、人形を申し込んだ人に大祓神事の後でおふだが届きます。都合がつけば参列し、難しければ人形を期限までに納めるだけでも構いません。
- Q年越の大祓の初穂料はいくらですか?
- A
神社によって異なります。香取神宮は2025年に形代と茅の輪守りを初穂料500円で頒布していました。大祓式への参列そのものは無料の神社もあります。金額は授与所や公式サイトで確認しましょう。
- Q夏越の大祓に行かなかった人でも、年越だけ受けていいですか?
- A
問題ありません。神社本庁は大祓を「半年間の穢れを祓う」行事と説明しており、6月と12月それぞれが独立した節目です。年越の祓は新しい年を迎えるために心身を清める祓いなので、年末だけ受ける人も多くいます。
- Qお寺でも年越の大祓はありますか?
- A
大祓は神社の神事です。お寺の年末行事としては除夜の鐘が代表的です。違いは神社とお寺の違いや除夜の鐘はなぜ108回?で解説しています。
まとめ|年越の大祓は「人形を納めて、茅の輪をくぐって、新年へ」
- 年越の大祓は12月の大祓。神社本庁によると6月(夏越)と12月(年越)の年2回、人形と大祓詞で半年間の穢れを祓う
- 多くの神社は12月31日の午後に大祓式。2026年は木曜日。ただし30日に行う神社もある
- 茅の輪は神前で3回くぐる(左・右・左の例が多い)。年越は茅の輪を立てない神社や、大晦日午前で撤去する神社もある
- 人形は名前・年齢を書き、体を撫で、息を3回吹きかけて、期限までに神社へ納める
- 日程・初穂料・郵送の可否は神社ごとに違うので、12月上旬に公式サイトで確認する
1年の終わりに心身を清めておけば、気持ちよく新年を迎えられます。年が明けたら初詣はいつまで?松の内と参拝作法を参考に、清らかな気持ちで初詣に出かけましょう。
御朱印帳・参拝グッズを探す
お寺用・神社用の使い分けや選び方は本文で解説しています。
参考・出典
- 神社本庁『大祓』 https://www.jinjahoncho.or.jp/omatsuri/ooharae/(2026年10月21日参照)
- 香取神宮『年越しの「茅の輪」を設置いたしました』(2025年12月9日) katori-jingu.or.jp(2026年10月21日参照)
- 鳩森八幡神社『夏越の大祓・年越の大祓』 https://www.hatonomori-shrine.or.jp/pages/9/(2026年10月21日参照)
- 石清水八幡宮『大祓神事のご案内』(2024年12月1日) https://iwashimizu.or.jp/news/ooharae/(2026年10月21日参照)
- 五所神社(神奈川県足柄下郡湯河原町)『2025年(令和7年)12月31日 大祓・茅の輪くぐり 午後3時』 goshojinjya.jp(2026年10月21日参照)
