三回忌は「亡くなって3年後」ではありません。亡くなった日から満2年、つまり一周忌の翌年に営む法要です。
2024年の秋に見送った方なら、三回忌は2026年の秋。一周忌を終えてほっとしたのもつかの間、すぐに次の準備が始まります。そのとき迷いやすいのが、お寺に包むお布施の額と、自分や親族が何を着ていくか。この二つは一周忌と同じでよいのか、少し変えるのか、家ごとに判断が分かれるところです。
ここでは寺院が自ら公表している金額をもとにお布施を考え、服装は施主・親族・参列者の立場ごとに整理しました。案内状の文面と当日の段取りも、順に見ていきます。
一周忌から何が変わる?三回忌で変わること・変わらないこと
一周忌を経験していれば、三回忌の準備の大半は同じ要領で進められます。違いが出やすいのは、呼ぶ人数と服装の格です。
| 項目 | 一周忌 | 三回忌 |
|---|---|---|
| 時期 | 満1年の祥月命日 | 満2年の祥月命日 |
| お布施 | 3万円(正蓮寺の公表目安) | 3万円(同じ) |
| 呼ぶ範囲 | 親族・故人と親しかった友人まで広く | 親族中心に絞る家庭もある |
| 施主・遺族の服装 | 喪服(準喪服)が一般的 | 喪服が一般的。家族だけなら略喪服も |
| 参列者の服装 | 喪服 | 喪服、または案内に従い略喪服(平服) |
出典: 真宗大谷派 正蓮寺『お布施目安一覧』(2025年4月改定)
年忌(ねんき)の数え方は独特です。浄土宗の辞典は、一周忌以後の年回法要を一周忌・三回忌・七回忌と勤めるのが通例だと説明しています。亡くなった日を1回目と数えるので、三回忌は満2年、七回忌は満6年、十三回忌は満12年。
| 命日 | 一周忌(満1年) | 三回忌(満2年) | 七回忌(満6年) |
|---|---|---|---|
| 2024年11月3日(日) | 2025年11月3日(月) | 2026年11月3日(火) | 2030年11月3日(日) |
| 2024年12月20日(金) | 2025年12月20日(土) | 2026年12月20日(日) | 2030年12月20日(金) |
| 2025年1月12日(日) | 2026年1月12日(月) | 2027年1月12日(火) | 2031年1月12日(日) |
| 2025年3月8日(土) | 2026年3月8日(日) | 2027年3月8日(月) | 2031年3月8日(土) |
| 2025年6月25日(水) | 2026年6月25日(木) | 2027年6月25日(金) | 2031年6月25日(水) |
祥月命日が平日なら、その前の土日に営むのがよくある形です。お盆・お彼岸・年末年始はお寺の行事が重なるので、日程は2〜3か月前に相談しておくと選択肢が残ります。お寺の繁忙期は神社・お寺の年間行事カレンダーで確認できます。

三回忌のお布施は3万円が目安。一周忌と同額を公表する寺院の例
お布施に定価はない。それでも最近は、檀家でない人にも頼みやすいよう目安を公開する寺院が出てきました。名古屋市中川区の正蓮寺(真宗大谷派)は、年忌法要のお布施を回忌ごとに分けて公表しています。
| 法要 | お布施の目安 | 読経時間 |
|---|---|---|
| 一周忌 | 30,000円 | 30〜40分 |
| 三回忌 | 30,000円 | 30〜40分 |
| 七回忌(以降同じ) | 30,000円 | 30〜40分 |
| 墓前年忌法要 | 30,000円 | 20分 |
| 墓前年忌法要+納骨 | 50,000円 | 25分 |
出典: 真宗大谷派 正蓮寺『お布施目安一覧』(2025年4月改定)
一周忌と三回忌が同じ額、という点に注目してください。回を重ねるごとに減らすものだと思われがちですが、少なくともこの寺院の目安では七回忌以降も3万円のまま。読経時間も変わりません。
同寺は、お布施とは別にかかるお金も明記しています。会場と営み方によって、ここが上乗せされます。
| 別にかかるお金 | 目安 | かかる場面 |
|---|---|---|
| 交通費(御車代) | 5,000〜10,000円 | 自宅・会館・墓前に僧侶が出向く |
| 施設使用料 | 20,000円 | お寺の本堂で営む |
| 併修の加算 | 10,000円 | 他の故人の回忌と一緒に営む |
出典: 真宗大谷派 正蓮寺『お布施目安一覧』(2025年4月改定)

グラフは、正蓮寺の公表値を組み合わせて当サイトが試算したものです。自宅は交通費の上限1万円を加え、墓前は交通費を含めていません。同じ「お布施3万円」でも、お寺に渡す総額は4万〜6万円の幅で動きます。
出典: 真宗大谷派 正蓮寺『お布施目安一覧』(2025年4月改定)
御膳料と御車代は別の封筒に
東京都の證大寺(真宗大谷派)は、僧侶に自宅や会館へ来てもらったときの御車代、会食に僧侶が参加しないときの御膳料を、それぞれ5,000〜1万円としています。実費ではなくキリのよい額にし、お布施とは別に包むのがマナーだという説明です。
出典: 真宗大谷派 證大寺『四十九日法要とは』(2025年)
お寺の本堂で営み、そのまま境内の会食に僧侶が同席するなら、どちらも要りません。逆に、自宅で営んで会食は家族だけ、という形なら両方そろえることになります。
一周忌より減らしてもいい?
編集部は、一周忌に包んだ額をそのまま三回忌でも包むのが無難だと考えています。公表例の寺院が同額としているうえ、施主が額を下げる理由を説明する場面はまずないからです。
一周忌にいくら包んだか覚えていない、という声は少なくありません。お布施の額と日付は、法要ごとにメモしておくと次で迷わずにすみます。一周忌の考え方は一周忌のお布施の相場、四十九日は四十九日のお布施の相場にまとめています。
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お布施の包み方と表書き
お布施は白無地の封筒か奉書紙に包む。郵便番号欄のある封筒は使いません。水引は付けない形が一般的ですが、地域によっては黄白や双銀の結び切りを使います。
| 項目 | 書き方 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 表書き(上段) | 「御布施」または「お布施」 | 宗派を問わず使える |
| 表書き(下段) | 施主の氏名か「○○家」 | 濃い墨で書く。香典の薄墨とは違う |
| 金額(中袋・裏面) | 「金参萬圓」のように大字で | 一・二・三は壱・弐・参と書く |
| 住所 | 中袋か封筒の裏に施主の住所 | お寺が記録を整理しやすい |
| 御車代・御膳料 | 別の封筒に名目を書く | お布施の下に重ねて一緒に渡す |
お布施はあらかじめ用意するお礼なので、新札で構わないとされます。不幸を予期していたように見える、という香典の考え方とは逆です。
参列者が持っていく香典は、三回忌では「御仏前」と書くのが一般的。施主のお布施と取り違えないよう、受付まわりの袋は分けて保管しておくと当日慌てません。
「平服でお越しください」と書かれたら、何を着る?
三回忌の服装について、宗派や寺院が公式に決めている例は、当サイトが調べた範囲では見つかりませんでした。ここから先は一般的な慣習と、編集部の判断です。
基本は一周忌と同じく喪服(準喪服)。男性ならブラックスーツに白いシャツと黒無地のネクタイ、女性なら黒のワンピースやアンサンブルです。ただ三回忌になると、施主が案内状に「平服で」と書くことが増えてきます。
この「平服」は普段着のことではありません。略喪服、つまり黒・濃紺・ダークグレーといった地味な色のスーツやワンピースを指します。ジーンズやポロシャツで来てほしいという意味で書く施主は、まずいないと考えてよいでしょう。
| 立場 | 男性 | 女性 | 子ども |
|---|---|---|---|
| 施主・遺族 | ブラックスーツ(準喪服) | 黒のワンピース・アンサンブル | 制服、なければ黒・紺の服 |
| 親族 | ブラックスーツ。平服指定なら濃い色のスーツ | 黒の喪服。平服指定なら地味な色のワンピース | 制服、なければ落ち着いた色の服 |
| 友人・知人 | 案内に従う。指定がなければ喪服 | 案内に従う。指定がなければ喪服 | — |
施主側は参列者より格を下げない、というのがよく言われる原則です。編集部も、施主と遺族は「平服で」と書いた場合でも喪服で迎えるほうが落ち着くと考えています。参列者が喪服で来ても、施主が略喪服なら気まずいのは施主のほうだからです。
小物と季節の調整
- 靴・バッグは黒で、金具や光沢の目立たないもの。動物の革や毛皮は避けるとされる
- アクセサリーは結婚指輪と一連の真珠程度まで
- 夏は上着を手に持って移動し、読経と焼香のあいだだけ着る家庭が多い
- 冬のコートは黒・紺・グレーの無地。お寺の本堂に入る前に脱ぐ
子どもは学校の制服があれば、それが正装になります。制服のない幼児なら、白いシャツに黒・紺・グレーのズボンやスカートで足ります。キャラクターの柄や明るい色の靴だけ避ければ、細かく気にしなくて大丈夫です。
数珠は宗派ごとに形が違うものの、自分の持っている略式数珠で困ることはありません。迷ったら、それを持っていけば十分です。
案内状はいつ、何を書く?
親族だけで営むなら電話やメッセージで済ませる家も増えました。それでも、会食の人数を確定させたいなら、法要の1か月半〜1か月前に書面で出すと返事がそろいやすくなります。
書く内容は次のとおりです。
- 故人の名前(俗名と戒名・法名)と、何回忌か
- 日時、会場(お寺・自宅・会館)の名前と住所
- 会食の有無と場所
- 服装の指定(「平服で」と書くならここ)
- 返信の期限と方法
文面の例
拝啓 晩秋の候 皆様にはご清祥のこととお喜び申し上げます
さて 来る十一月八日は亡父 ○○○○ の三回忌にあたります つきましては左記のとおり法要を営みたく存じます
ご多用中まことに恐縮ではございますが ご参列くださいますようご案内申し上げます
なお 当日は平服にてお越しください 敬具
返信期限は法要の3週間前ごろに置くと、会食の店や仕出しに人数を伝える余裕ができます。期限を過ぎても返事のない親族には、電話で一度だけ確かめれば十分。高齢の親族が多いなら、往復はがきにしておくと返事を書く手間が少なく、施主の側も出欠を一覧にしやすくなります。
家族だけで営む場合でも、遠方の親族には「三回忌は家族のみで営みます」と事前に知らせておくと、あとから「呼ばれなかった」と気にされずにすみます。この一報があるかないかで、七回忌の声のかけやすさも変わってきます。
句読点を使わないのは、法事の案内状に昔からある書き方です。「平服で」の一文は、入れるなら本文の最後に。入れないと、参列者は喪服で来ます。
三回忌当日の流れと準備の段取り
- 2〜3か月前菩提寺に日程を相談祥月命日の前の土日を候補に、会場・併修の有無・お布施の目安を確認する
- 1か月半前案内状を出す会食の人数を確定させたいなら書面で。返信期限は法要の3週間前ごろに
- 1か月前会食・返礼品・塔婆を手配塔婆を立てる寺院では、施主と親族の本数を取りまとめて申し込む
- 前日まで封筒をそろえるお布施・御車代・御膳料・塔婆料を別々に。袱紗と切手盆も用意
- 当日法要前の挨拶で渡す袱紗から出し、切手盆にのせて表書きを僧侶に向けて差し出す

お布施を差し出すときの作法
- 封筒を弔事用の袱紗(紺・グレー・紫)に包んで持参する
- 僧侶の前で袱紗から出し、切手盆か、たたんだ袱紗の上にのせる
- 表書きが僧侶から読める向きに回して差し出す
- 御車代・御膳料はお布施の下に重ねるか、横に並べて一緒に渡す
手渡しでも失礼にはなりません。ただ、お盆か袱紗を一枚はさむだけで所作が落ち着いて見えるので、編集部は切手盆を一つ用意しておくことをすすめています。自宅に無ければ、法要の会場となるお寺や会館で貸してもらえるか、事前に聞いてみてください。
塔婆を立てる寺院では、塔婆料もこのとき一緒に納めるか、受付で別に納めます。額は寺院ごとに違い、施主のほか兄弟姉妹がそれぞれ申し込む例もあります。誰が何本立てるか、1か月前までに取りまとめてお寺に伝えておくと当日の受付が混みません。
お布施は、法要が始まる前の挨拶で渡すのがいちばん自然です。法要前が慌ただしければ、会食の終わりや僧侶が帰るときでも構いません。「本日はよろしくお願いいたします」とひと言添えれば十分でしょう。
三回忌に合わせて納骨する、あるいは改葬を考える家もあります。納骨先がまだ決まっていなければお墓・埋葬の種類と費用や納骨堂の費用と種類、お墓の承継に不安があるなら墓じまいの費用と手順も早めに目を通しておくと日程を組みやすくなります。
宗派で金額は変わる?十三回忌・十七回忌はどうなる
「浄土真宗の三回忌は」「真言宗の十三回忌は」と宗派名を足して調べる人は多いはずです。ところが、宗派として回忌ごとのお布施を定めている例は、当サイトが確認した範囲では見当たりません。
伝統仏教の宗派が加盟する全日本仏教会は、平成12年(2000年)1月、僧侶・寺院が受ける金品はすべてお布施(財施)であるという趣旨を表明しています。読経の料金ではなく施しなので、宗派が一律に額を決める性質のものではない、という考え方です。
出典: 日蓮宗 現代宗教研究所『葬儀を考える─布施について』
| 宗派 | 年忌法要で確認したいこと | 本山・大本山の例 |
|---|---|---|
| 浄土真宗(本願寺派・大谷派) | 追善供養ではなく、仏の教えに触れる場と考える。塔婆は立てない | 東本願寺(真宗本廟)/築地本願寺 |
| 浄土宗 | 念仏による年忌を勤める。塔婆を立てるかは寺院に確認 | 増上寺 |
| 曹洞宗・臨済宗・真言宗・日蓮宗など | 塔婆供養を行う寺院では、お布施とは別に塔婆料を確認 | 永平寺(曹洞宗大本山) |
十三回忌・十七回忌については、正蓮寺の目安では七回忌以降も3万円で同じです。回が進むと集まる人数は減っていきますが、お寺へのお布施まで減らす根拠は公表例からは読み取れません。
出典: 真宗大谷派 正蓮寺『お布施目安一覧』(2025年4月改定)
三十三回忌などを区切りに「弔い上げ」として年忌を終える家もあります。いつ区切るかは寺院や地域で異なるため、三回忌の席で菩提寺に尋ねておくと、親族の間で話をまとめやすくなります。
本山の多い京都の寺院は京都府の神社・お寺、正蓮寺のある愛知の寺院は愛知県の神社・お寺から探せます。戒名と宗派の関係は戒名の位号と戒名料、葬儀のときのお布施はお寺に葬儀を頼む費用とお布施で取り上げました。
ここが気になる、三回忌の細かいこと
- Q家族だけの三回忌でも、お布施の額は同じですか?
- A
お布施は参列者の人数で決まるものではありません。正蓮寺の公表目安も回忌ごとの額で、人数による区別はありません。変わるのは会食や返礼品の費用のほうです。
- Q父の三回忌と母の一周忌を一緒に営めますか?
- A
一緒に営む「併修」は可能です。正蓮寺では他の回忌と併修する場合に1万円を加算するとしています。お布施を一つの封筒にまとめてよいかも含め、日程の相談のときに菩提寺に確認してください。
- Q三回忌のお布施や会食代は、相続税で控除できますか?
- A
できません。国税庁は、初七日など法事のためにかかった費用は葬式費用に含まれないとしています。三回忌は法事にあたります。
- Q喪中はいつまで?三回忌のころの年賀状は?
- A
喪中は一般に一周忌までとされ、三回忌のころには明けています。年始の行事の考え方は喪中の初詣も参考になります。
出典: 真宗大谷派 正蓮寺『お布施目安一覧』(2025年4月改定)/出典: 国税庁『No.4129 相続財産から控除できる葬式費用』
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樹木葬・永代供養・納骨堂の違いと相場は お墓・埋葬の種類と費用相場 にまとめています。
参考・出典
- 真宗大谷派 正蓮寺『お布施目安一覧』(2025年4月改定) https://shorenji.net/ofuse/
- 真宗大谷派 證大寺『四十九日法要とは』(2025年7月) https://shoudaiji.or.jp/baton/post1290/
- 浄土宗『新纂浄土宗大辞典』「年忌」 jodoshuzensho.jp
- 日蓮宗 現代宗教研究所『葬儀を考える─布施について』 https://genshu.nichiren.or.jp/publications/post-2996/id-3296/
- 国税庁『No.4129 相続財産から控除できる葬式費用』 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4129.htm
いずれも2026年10月29日参照。

