東京で樹木葬をいちばん安く済ませる方法は、都立霊園の樹林型に当選することです。多磨霊園なら遺骨1体9万5,000円、年間の管理料もかかりません。
ただし募集は年に1回、申し込めるのは都内に3年以上住んでいる人だけ。外れたら翌年まで待つことになります。
待てない人、近所のお寺に任せたい人のために、東京のお寺が自分で公表している樹木葬の料金も集めました。武蔵村山市の長圓寺は1人目55万円、神楽坂の真清浄寺は12万円から。同じ「樹木葬」でも、入り方と費用の幅はここまで広がります。
東京の樹木葬、4つの入り方と1人分の費用
東京で樹木葬を考えるとき、選択肢は大きく4つに分かれます。公営の都立霊園か、お寺か。そして、ほかの人と一緒に埋める合葬型か、区画を分けてもらう個別型か。料金は2026年度に公表されている額です。
| 入り方 | 1人分の費用(公表額) | 申し込み | 年間の費用 |
|---|---|---|---|
| 都立霊園の樹林型(多磨・雑司ケ谷) | 9万5,000円〜11万2,000円(粉状は3万1,000円〜) | 年1回・抽選 | なし |
| お寺の合葬型・小区画(例: 真清浄寺) | 12万円〜25万円〜 | 随時 | 公式ページに記載なし |
| お寺の個別型(例: 長圓寺) | 1人目55万円、2人目以降25万円 | 随時 | 使用料に管理費を含む |
| 樹木と花に囲まれた個別墓(例: 池上本門寺 池上樹陵) | 四霊用285万円より | 随時(41基の募集) | 年2万円 |
差は最大で数十倍。とはいえ、高いほうが損という話ではありません。都立は抽選と居住条件があり、お寺はその代わりに時期を選ばず申し込めて、読経や法要を寺が引き受けます。何にお金を払っているのかを分けて見ると、表の数字の意味が変わってきます。

参考までに、全国の相場も見ておきます。鎌倉新書が2025年にお墓を買った人を調べたところ、樹木葬の平均購入価格は71.7万円でした。墓石を建てる一般墓は152.0万円、納骨堂は81.5万円です。東京の都立樹林型は、この全国平均の7分の1ほどにあたります。出典: 株式会社鎌倉新書『第17回 お墓の消費者全国実態調査』(2026年)
都立霊園の樹林型は多磨と雑司ケ谷の2か所
東京都が「樹林型合葬埋蔵施設」と呼んでいるのが、いわゆる公営の樹木葬です。2026年度に募集があったのは、府中市・小金井市にまたがる多磨霊園と、豊島区の雑司ケ谷霊園でした。
| 霊園 | 募集数 | 遺骨1体 | 粉状遺骨1体 | 申込倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 多磨霊園(樹林墓地2号基) | 2,430体 | 9万5,000円 | 3万1,000円 | 2.5倍 |
| 雑司ケ谷霊園(樹林墓地) | 400体 | 11万2,000円 | 3万7,000円 | 6.6倍 |
粉状遺骨とは、遺骨を細かく砕いて量を減らしたものです。料金は3分の1ほどに下がります。粉骨を業者に頼めば、その費用は使用料とは別にかかります。
申し込める人の条件は、2026年7月3日時点で都内に3年以上続けて住んでいること。遺骨で申し込む場合は、その遺骨の祭祀の主宰者(お墓を守る役の人)であることも求められます。2体用で申し込めるのは、夫婦(事実婚を含む)、パートナーシップ関係、親子、兄弟姉妹の組み合わせです。出典: 東京都『令和8年度 都立霊園の使用者募集』(2026年5月25日)
生前の申し込みも受け付けています。区分は3つあり、遺骨だけ、遺骨と生前の組み合わせ、生前だけ。生前だけで申し込む場合は、申込者と存命の埋蔵予定者のどちらも都内3年以上の居住が条件になります。
どちらを選ぶかは、ほぼ場所で決まります。区部に住んでいて、電車でお参りしたい家族が多いなら雑司ケ谷。費用を抑えたい、当選しやすいほうを選びたいなら多磨。2026年度の倍率は多磨2.5倍に対して雑司ケ谷6.6倍で、約2.6倍の開きがありました。出典: 東京都『令和8年度 都立霊園使用者募集の申込状況』(2026年8月6日)
日程は毎年ほぼ同じ流れです。2026年度は5月25日に募集が発表され、6月12日から7月3日まで申し込みを受け付け、8月14日に抽選がありました。
- 5月25日募集の発表東京都と東京都公園協会が募集数・使用料・申込資格を公表
- 6月12日〜7月3日申し込み居住年数は7月3日時点で数える
- 8月14日抽選倍率は多磨2.5倍、雑司ケ谷6.6倍
「小平霊園の樹木葬に生前申し込み」は、今年は不可
小平霊園の樹林墓地・樹木墓地は、都立の樹木葬として名前が知られています。
けれども2026年度の募集要項を見ると、小平霊園で募集があったのは一般墓、芝生墓、合葬埋蔵施設(2号基)の3種類だけでした。樹林墓地・樹木墓地は募集の一覧に入っていません。小平霊園の名前で樹木葬を探していた人は、今年度については多磨か雑司ケ谷に切り替えるしかなかった、ということです。出典: 東京都『令和8年度 都立霊園の使用者募集』(2026年5月25日)
小平で申し込めた合葬埋蔵施設(2号基)は、遺骨1体5万8,000円の直接共同埋蔵。木の下ではありませんが、費用は樹林型より安い水準です。その代わり倍率は19.4倍と、都立の合葬・樹林型のなかで最も高くなりました。出典: 東京都『令和8年度 都立霊園使用者募集の申込状況』(2026年8月6日)
来年度に小平の樹林墓地・樹木墓地の募集があるかどうかは、5月下旬の発表を見るまで分かりません。編集部としては、小平にこだわるより、多磨の樹林型と八柱の合葬を並べて検討するほうが現実的だと考えています。
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お寺の樹木葬、公表されている料金を読む
東京のお寺で、樹木葬の料金を公式サイトに明記しているところは多くありません。2026年11月7日時点で、内訳まで確かめられたのは次の3か所です。
| 寺院(所在地) | 公表されている料金 | 年間の費用 | 合祀・期間 |
|---|---|---|---|
| 長圓寺(武蔵村山市・曹洞宗) | 1人目55万円/2人目以降25万円/ペット2万円(税別) | 使用料に管理費を含む | 33回忌まで使用・永代供養 |
| 真清浄寺(神楽坂駅から徒歩3分) | 樹木葬「光秋」12万円〜/「光春」25万円〜 | 記載なし | 記載なし |
| 池上本門寺(大田区)池上樹陵 | 【蓮】四霊用285万円より | 年2万円 | 最後の方の13回忌後に合祀墓へ |
多摩・武蔵村山の長圓寺
長圓寺の料金は、1人目が55万円、2人目以降が25万円です。55万円には使用料、管理費、埋葬費が含まれ、埋葬費の中身は埋葬料、埋葬用の布代、事務手数料、諸経費と書かれています。ペットも一緒に納骨でき、その費用は2万円(税別)。使用料は「埋葬から33回忌までの墓地使用及び永代供養料」という位置づけです。出典: 長圓寺『樹木葬の費用』
夫婦2人なら、55万円と25万円で合計80万円。全国平均の71.7万円とほぼ同じ水準になります。
神楽坂の真清浄寺
真清浄寺の案内ページには、樹木葬「光秋」が12万円から、「光春」が25万円からと載っています。過去の宗旨宗派は問わないとしています。一方で、年間の管理費や合祀の時期、料金の内訳は記載がありませんでした。「〜から」の表示なので、人数や区画で金額が変わる前提で見積もりを取ることになります。出典: 真清浄寺『神楽坂の樹木葬・永代供養墓』
案内ページの窓口は寺院ではなく、新宿区の会社です。申し込み前に、契約の相手が寺院なのか、窓口の会社なのかを確かめておきたいところです。
大田区の池上本門寺「池上樹陵」
池上本門寺の池上樹陵は、公式サイトで「樹木とお花に囲まれた個別墓」と紹介されています。樹木葬という言葉は使っておらず、墓標に名前や好きな文字・絵を刻める個別の墓です。四霊用が285万円から、年間維持費は2万円。最後に亡くなった方の13回忌(丸12年)を過ぎると、境内の合祀墓へ移されます。出典: 池上本門寺『墓地・納骨』
都内の大寺院の境内で、樹木に囲まれた区画を家族で使う。その形に近いものを求める人にとっての、価格の目安になる例です。
ほかのお寺を探すなら、東京都の神社・お寺一覧から区市町村ごとに寺院をたどれます。永代供養墓や納骨堂まで含めて比べたい場合は、東京で永代供養ができるお寺と費用に池上本門寺・増上寺の料金をまとめています。
区部と多摩で、価格帯はどう違う?
区部は高く、多摩は安い。そう言い切れるほどのデータは、公表されている料金からは集まりませんでした。料金を出していないお寺が多く、比べられる数が足りないためです。
確かに言えることは2つあります。
1つ目は、都立の樹林型は区部の雑司ケ谷のほうが1万7,000円高く、倍率も高いこと。2つ目は、お寺の樹木葬は立地より「個別に区画を持てるか」「何年で合祀されるか」で値段が大きく動くことです。神楽坂の真清浄寺は都心で12万円から、多摩の長圓寺は55万円。立地と価格が逆になっている例もあります。
区部・多摩のどちらで探すにしても、お参りする家族の住まいから電車で何分かかるかを先に決めておくと、候補をしぼりやすくなります。千葉県まで範囲を広げてもよいなら、県内の公営樹木葬は千葉県の樹木葬ができるお寺・霊園にまとめました。都立八柱霊園(松戸市)の合葬は、都内在住者でも申し込めます。
樹木葬と永代供養、どちらが安いのか
この問いは、比べ方に少し注意がいります。樹木葬の多くは永代供養がセットになっていて、別のものとして並べにくいからです。長圓寺の55万円も、使用料に33回忌までの永代供養料を含んでいます。
都立霊園の中で比べると、答えははっきりしています。木の下に埋める樹林型は9万5,000円〜11万2,000円。合葬埋蔵施設は5万3,000円〜13万1,000円です。もっとも安いのは八柱霊園の直接共同埋蔵(5万3,000円)で、樹林型より4万円ほど下がります。20年間は個別に残す八柱の一定期間後共同埋蔵(13万1,000円)は、樹林型より高くなります。出典: 東京都『令和8年度 都立霊園の使用者募集』(2026年5月25日)
全国平均では、樹木葬71.7万円、納骨堂81.5万円、一般墓152.0万円という順でした。お墓の種類ごとの特徴は、お墓・埋葬の種類と費用相場で比べています。出典: 株式会社鎌倉新書『第17回 お墓の消費者全国実態調査』(2026年)
私たちは、費用だけで樹木葬と合葬を選ぶ必要はないと考えています。数万円の差より、「木の下に眠る」ことに家族が意味を感じるかどうかのほうが、あとの満足を左右するからです。
契約書で見ておきたい4つの箇所
お寺や民営霊園の樹木葬は、契約の中身が一つひとつ違う。だから料金表より先に、使用規則と契約書を読む価値があります。厚生省(現・厚生労働省)の『墓地経営・管理の指針等について』は、お墓の使用期限の決め方を4つに分けました。無期限、管理料を払い続ける限り使える方式、期限付き、期限付きで更新できる方式です。「永代使用」の表示でも、中身は管理料継続制や有期限の更新制という場合がある、とも注意を促しています。出典: 厚生省生活衛生局長通知『墓地経営・管理の指針等について』(2000年)
- 合祀される時期(何回忌まで個別か、最後の1人の命日から数えるのか)
- 2人目以降の費用と、家族が後から入れる人数の上限
- 年間の管理費の有無と、払えなくなった場合の扱い
- 納めた費用と遺骨の返却についての定め
長圓寺は「33回忌まで」、池上本門寺は「最後の方の13回忌後」と、公式サイトに合祀までの期間を書いています。真清浄寺のページにはこの記載がありませんでした。書かれていない場合は、申し込みの前に書面でもらいましょう。
地方のお墓から遺骨を移して樹木葬にする場合は、元のお墓がある市町村で改葬許可を受ける必要があります(墓地、埋葬等に関する法律 第5条)。また同法第4条により、焼骨は墓地以外の区域には埋められません。自宅の庭や私有林に遺骨を埋めることはできない、という意味です。出典: e-Gov法令検索『墓地、埋葬等に関する法律』
改葬の流れと費用は墓じまいの費用と手順、合祀や取り出しで後悔しやすい場面は樹木葬のデメリットと後悔の例にまとめています。

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細かい疑問に答えます
- Q都立霊園の樹林型で、あとから遺骨を取り出せますか?
- A
難しいと考えておくべきです。東京都の資料『都立霊園の埋蔵施設の例』では、樹林型は遺骨を直接土に触れる形で共同に埋める施設とされています。ほかの方の遺骨と一緒に土へ還るため、編集部は、埋蔵したあとに特定の遺骨だけを戻すことはできない前提で選ぶべきだと考えています。
- Q都外に住んでいても、都立霊園の樹木葬に申し込めますか?
- A
2026年度の樹林型(多磨・雑司ケ谷)は、都内に3年以上続けて住んでいることが条件でした。八柱霊園の合葬は都内または松戸市の居住者が対象です。
- Qお寺の樹木葬で、檀家にならないといけませんか?
- A
寺院によります。真清浄寺は過去の宗旨宗派を問わないとしていますが、檀家になる必要があるかは公式ページに書かれていませんでした。長圓寺も同じです。申し込む前に寺院へ直接確かめてください。
- Qペットと一緒に入れる樹木葬はありますか?
- A
長圓寺はペットの納骨を2万円(税別)で受けています。都立霊園の樹林型にはペット用の区分はありません。
参考・出典
- 東京都『令和8年度 都立霊園の使用者募集』(2026年5月25日) https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/05/2026052511
- 東京都『令和8年度 都立霊園使用者募集の申込状況』(2026年8月6日) https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/08/2026080610
- 東京都公園協会『TOKYO霊園さんぽ』 https://www.tokyo-park.or.jp/reien/
- 東京都『都立霊園の埋蔵施設の例』(2026年5月25日) https://www.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/tosei/20260525_09_01
- 長圓寺『樹木葬の費用』 https://chouen-ji.jp/price/
- 真清浄寺『神楽坂の樹木葬・永代供養墓』 https://www.nissyow.net/
- 池上本門寺『墓地・納骨』 https://honmonji.jp/pray/bochi.html
- 厚生省生活衛生局長通知『墓地経営・管理の指針等について』(2000年) https://www.mhlw.go.jp/topics/0104/tp0413-2.html
- 株式会社鎌倉新書『第17回 お墓の消費者全国実態調査』(2026年) https://www.kamakura-net.co.jp/newstopics/12153/
- e-Gov法令検索『墓地、埋葬等に関する法律』 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000048
参照日: 2026年11月7日

