「身内が亡くなった年のお正月、初詣には行ってもいいの?」「神社はダメでもお寺ならいい?」「鳥居をくぐってはいけないと聞いたけれど本当?」――年末が近づくと、こうした迷いを抱える方は少なくありません。喪中と忌中の区別があいまいなまま、なんとなく初詣を控えている方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、神社への初詣を控えるのは「忌中(きちゅう)」の期間で、忌が明けた後の「喪中」であれば神社に初詣をしてかまいません。神社本庁「服忌について」は、特に慣例がない場合「五十日祭までが『忌』の期間、一年祭(一周忌)までを『服』の期間とするのが一般的」とし、忌の期間中は神社への参拝を遠慮するよう案内しています。一方、お寺は死を穢れとしないため、忌中でも初詣(お参り)ができると一般に考えられています。
この記事では、喪中と忌中の違い、神社とお寺の考え方の違い、亡くなった時期から「2027年の元日に忌中かどうか」を判定する早見表、鳥居・お守り・厄払い・おみくじの扱い、うっかり参拝してしまった場合の対処、忌中でもできる代わりのお参り方法までを、神社本庁などの公式情報をもとに解説します。
この記事のポイント:①神社を控えるのは「忌中」(目安は五十日祭まで)。忌明け後の喪中は初詣OK ②お寺は忌中でもお参りできるのが一般的。浄土真宗には忌中の考え方自体がない ③2027年の元日が忌中にあたるのは、おおむね11月13日以降に亡くなった場合 ④忌中にやむを得ず神社へ行くときは「お祓いを受けてから」(神社本庁)⑤迷ったら地域の慣例と、参拝する神社に確認するのが確実
喪中とは?忌中とは?初詣に関わる2つの期間の違い
「喪中」と「忌中」は混同されがちですが、神道では服忌(ぶっき)という言葉で区別します。神社本庁によると、「忌」は故人の祭りに専念する期間、「服」は故人への哀悼の気持ちを表す期間です。一般に「喪中」と呼ばれるのが「服」の期間にあたります。
| 忌中(き) | 喪中(服) | |
|---|---|---|
| 意味 | 故人のまつりに専念する期間 | 故人を偲び、哀悼の意を表す期間 |
| 期間の目安(神道) | 五十日祭まで(約50日) | 一年祭(一周忌)まで(約1年) |
| 期間の目安(仏教) | 四十九日(満中陰)まで | 一周忌まで |
| 神社への参拝 | 遠慮する(やむを得ない場合はお祓いを受けてから) | 参拝してよい(お祝い事は控える) |
| 家の神棚 | 白い半紙を貼るなどしておまつりを一時中断 | 忌明け後はおまつりを再開 |
| 初詣 | 神社は控える。お寺は一般に可 | 神社・お寺とも可 |
期間の考え方の元になっているのは、江戸時代に定められた「服忌令(ぶっきりょう)」です。神社本庁によれば、戦前まで公的な基準として使われ、最も長い父母の場合で「忌」が50日、「服」が13か月とされ、故人との関係が遠くなるほど期間は短くなっていました。現在は法的な決まりはなく、同ページも「地域に慣例がある場合、その慣例に従うのが適切」としています。
| 区分 | 服忌令(戦前までの公的基準) | 現在の一般的な目安(神社本庁) |
|---|---|---|
| 忌 | 父母の場合50日(親等が遠いほど短い) | 五十日祭まで |
| 服(喪中) | 父母の場合13か月(親等が遠いほど短い) | 一年祭(一周忌)まで |
| 地域の慣例 | ― | 慣例があればそれに従う |
喪中の初詣、神社とお寺で何が違う?
初詣先が神社かお寺かで、考え方は大きく異なります。神道では死を「穢れ(けがれ)」=気が枯れた状態ととらえ、身内を亡くした直後の家族は神さまの前に出るのを慎むとされてきました。これが「忌中は神社へ行かない」という習わしの理由です。
一方、仏教では死を穢れとは考えないため、お寺へのお参りは忌中でも差し支えないとされるのが一般的です。むしろ亡くなった方の供養のためにお寺へ足を運ぶのは自然なことです。
| 神社 | お寺 | |
|---|---|---|
| 死のとらえ方 | 穢れ(気枯れ)として慎む | 穢れとは考えない |
| 忌中の初詣 | 控える | 一般に参拝してよい |
| 喪中(忌明け後)の初詣 | 参拝してよい | 参拝してよい |
| お守り・お札 | 忌明け後に受ける | 一般に受けてよい(寺院により確認) |
| 年始の行事 | 歳旦祭など | 修正会(しゅしょうえ)・除夜の鐘など |
| 例 | 寒川神社など | 川崎大師(平間寺)など |
浄土真宗には「忌中」の考え方がない
同じ仏教でも、浄土真宗はさらに明確です。名古屋市の真宗大谷派寺院・信興寺の公式サイトでは、浄土真宗には忌中の概念そのものがなく、亡くなってからの期間は故人を偲ぶ「中陰」と呼ぶこと、真宗門徒は慶事を慎む必要がないため本来は忌中でも神社参拝が可能であることが説明されています。そのうえで「世の倣いなどによって避けるのが良いのかもしれません」と周囲への配慮にも触れ、新年は自宅のお仏壇に手を合わせ、お手次寺の新年の法要(修正会)に参ることをすすめています。
ご家族の宗派によって考え方が違うことも多いので、菩提寺がある場合は年末の法要などの機会に相談してみるとよいでしょう。宗派ごとの考え方は戒名の意味と相場やお寺での葬儀費用とお布施でも触れています。
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お寺用・神社用の使い分けや選び方は本文で解説しています。
喪中の初詣はいつから?亡くなった時期別の判定早見表【2027年正月】
「今年の元日は忌中にあたるのか」は、亡くなった日から数えるとわかります。ここでは神社本庁が示す五十日祭(亡くなった日を1日目として50日目)を忌明けの目安として、2027年(令和9年)のお正月にあてはめました。仏式の四十九日も参考に並べています。
| 亡くなった日 | 四十九日(仏式の目安) | 五十日祭(神式の忌明け目安) | 2027年元日の神社初詣 |
|---|---|---|---|
| 2026年10月1日(木) | 2026年11月18日(水) | 2026年11月19日(木) | 神社OK(忌明け後) |
| 2026年10月20日(火) | 2026年12月7日(月) | 2026年12月8日(火) | 神社OK(忌明け後) |
| 2026年11月1日(日) | 2026年12月19日(土) | 2026年12月20日(日) | 神社OK(忌明け後) |
| 2026年11月10日(火) | 2026年12月28日(月) | 2026年12月29日(火) | 神社OK(忌明け後) |
| 2026年11月12日(木) | 2026年12月30日(水) | 2026年12月31日(木) | 神社OK(忌明け後) |
| 2026年11月13日(金) | 2026年12月31日(木) | 2027年1月1日(金) | 元日は忌中→1月1日以降に |
| 2026年11月20日(金) | 2027年1月7日(木) | 2027年1月8日(金) | 元日は忌中→1月8日以降に |
| 2026年12月1日(火) | 2027年1月18日(月) | 2027年1月19日(火) | 元日は忌中→1月19日以降に |
| 2026年12月15日(火) | 2027年2月1日(月) | 2027年2月2日(火) | 元日は忌中→2月2日以降に |
| 2026年12月28日(月) | 2027年2月14日(日) | 2027年2月15日(月) | 元日は忌中→2月15日以降に |
表のとおり、2026年11月13日ごろより後に亡くなった場合、2027年の元日はまだ忌中です。その場合は無理に元日に神社へ行かず、忌明け後に改めて参拝しましょう。初詣に「いつまで」という厳密な決まりはなく、松の内(一般に1月7日、地域によって15日)を過ぎてからの参拝や、節分・立春ごろのお参りでも問題ありません。

喪中に神社へ初詣するときの注意点|鳥居はくぐっていい?
「喪中は鳥居をくぐってはいけない」という話を耳にすることがありますが、これも本来は忌中についての言い伝えです。鳥居は神域の入口であり、忌中の方が参拝を慎むことから「鳥居をくぐらない」と表現されてきました。忌明け後の喪中であれば、ふだんどおり鳥居をくぐって参拝してかまいません。
ただし、神社本庁が「地域に慣例がある場合、その慣例に従うのが適切」としているように、地域や神社によっては喪中(一年間)を通して参拝を控える習わしが残っているところもあります。気になる場合は、参拝予定の神社の社務所に問い合わせるのが確実です。境内での基本作法は鳥居のくぐり方と参拝の基本作法で詳しく紹介しています。
喪中の初詣で気をつけたいこと
- 服装:決まりはないが、晴れ着や華美な装いは避け、落ち着いた色の服にすると安心
- 新年のあいさつ:境内で知人に会ったら「おめでとうございます」ではなく「本年もよろしくお願いします」などに
- 願い事:「故人が安らかでありますように」「家族が健やかに過ごせますように」など、感謝と祈りを中心に
- 家族の中で気持ちの整理がつかない人がいれば、無理に誘わず別の日に
- 宮参りや七五三などお祝いの祈祷は、喪中は時期をずらすか神社に相談する
「寒川神社は喪中でも初詣に行ける?」など個別の神社の場合
八方除で知られる寒川神社(神奈川県寒川町)は、お正月に多くの人が訪れる神社のひとつです。「寒川神社 喪中 初詣」と検索する方も多いのですが、寒川神社公式サイトの「よくあるご質問」には、2026年9月時点で喪中・忌中に関する項目は掲載されていません。そのため個別の神社についても、まずは神社本庁の一般的な目安(忌中は控え、忌明け後の喪中は参拝可)で考え、判断に迷う場合は神社に直接確認するのが確実です。

神奈川県・東京都で初詣先を探す方は、神奈川県の神社・お寺一覧・東京都の神社・お寺一覧もご覧ください。
喪中のお守り・お札・厄払い・おみくじはどうする?
忌が明けていれば、お守りやお札を受けること、厄払いを受けることに問題はありません。神社本庁「よくあるご質問」は「お神札やお守りは、1年ごとに新しく受けていただくことがよい」とし、前年のものは受けた神社に納めるよう案内しています。
| 項目 | 忌中(約50日) | 喪中(忌明け後) |
|---|---|---|
| お守り・お札(神社) | 忌明け後に受ける | 受けてよい |
| 古いお守り・お札の返納 | 忌明け後に納める(急がなくてよい) | 納めてよい |
| 神棚 | 白い半紙を貼るなどしておまつりを中断 | おまつりを再開し、新しいお神札を受ける |
| 厄払い(神社) | 忌明け後に受ける | 受けてよい |
| 厄除け(お寺) | 一般に受けてよい(寺院に確認) | 受けてよい |
| おみくじ | 神社では忌明け後に | 引いてよい |
お守りの納め方や、違う神社・お寺のものを納めてよいかはお守りの返納方法で解説しています。2027年に厄年を迎える方は、厄年早見表2027で年齢と生まれ年を確認し、忌が明けてから厄祓いを受けましょう。厄祓いには「いつまでに」という決まりはないため、忌中で元日に行けなくても心配はいりません。
神棚封じと忌明けの流れ
神社本庁によると、忌の期間は「神棚の面前に白い半紙を貼る、または屏風を立てる等をして、一時的に神棚のおまつりを取りやめ」、忌が明けたら新しいお神札を受けてお祀りするのがよいとされます。福岡県神社庁も、忌中は神社参拝を遠慮し家の神棚に半紙を貼るなどして神まつりを中断し、忌明け後は神社参拝や御神札を受けることができると説明しています。
- 亡くなった日神棚封じ神棚の前に白い半紙を貼るなどして、おまつりを一時中断する
- 〜50日目忌中神社への参拝・神棚のおまつりを控える。お寺への参拝や供養は一般に可
- 五十日祭・四十九日忌明け半紙をはずして神棚のおまつりを再開。新しいお神札を受ける
- 11月〜12月上旬喪中はがきを出す年賀状の準備が始まる前に年賀欠礼を知らせる(日本郵便の案内)
- お正月喪中の初詣忌明け後なら神社・お寺とも参拝可。お祝いの言葉は控えめに
- 一年祭・一周忌喪明けお祝い事も通常どおりに
忌中に神社へ行ってしまった場合は?
「知らずに忌中に初詣へ行ってしまった」「付き合いで神社に入ってしまった」と気に病む方もいますが、過度に心配する必要はありません。神社本庁は、忌の期間中は神社への参拝を遠慮するとしつつも、「やむを得ない場合にはお祓いを受けてから参拝するのがよい」としています。
- 気持ちが落ち着かない場合は、忌明け後に改めてその神社へお参りし、日ごろの感謝を伝える
- 気になるときは、社務所に事情を伝えてお祓いを受けられるか相談する
- 仕事や地域の行事などで忌中に神社へ行く予定があるときは、事前に神社へ相談し、お祓いを受けてから参拝する
大切なのは、決まりを守れたかどうかよりも、故人を偲ぶ気持ちと神さまへの敬意です。家族の中で考え方が違う場合は、年長者や地域の慣例を尊重しつつ話し合いましょう。
忌中でもできる初詣の代わりのお参り方法
忌中で元日に神社へ行けない場合でも、新年を静かに迎える方法はいくつもあります。
| 方法 | 内容 | 向いている人 |
|---|---|---|
| お寺へ初詣 | 菩提寺や近くのお寺に新年のお参りをする | 忌中でも新年のお参りをしたい人 |
| 修正会に参る | お寺の新年の法要(修正会)に参加する | 菩提寺がある人(真宗寺院などでも案内あり) |
| 自宅の仏壇で手を合わせる | 新年のお勤めをし、故人に新年の報告をする | 外出を控えたい人・高齢の家族がいる人 |
| 忌明け後に神社へ | 松の内を過ぎてから、または節分・立春ごろに参拝 | 氏神さまや毎年の神社に参りたい人 |
| お墓参り | 年末年始にお墓を掃除し、手を合わせる | 故人を身近に感じたい人 |
お墓の種類や供養の方法を見直したい方はお墓・埋葬の種類と費用もあわせてご覧ください。年始の行事の全体像は神社・お寺の年間行事カレンダー、1月7日の人日の節句(七草粥)も無病息災を願う行事として喪中でも行えます。
喪中のお正月の過ごし方|年賀状・正月飾り・おせち
喪中は「お祝い事を控える期間」です。福岡県神社庁も、喪中はお祝い事を控える期間で、お正月の参拝はご自身の気持ち次第としています。初詣以外のお正月行事も、同じ考え方で判断するとわかりやすくなります。
| お正月の行事 | 喪中の一般的な対応 | ポイント |
|---|---|---|
| 年賀状 | 出さずに喪中はがき(年賀欠礼)を送る | 11月〜12月上旬に投函(日本郵便)。間に合わなければ松の内明けに寒中見舞い |
| 正月飾り(門松・しめ縄・鏡餅) | 飾らないのが一般的 | お祝いの意味合いが強いため |
| おせち料理 | 祝い肴を控える、または普段の食事に | お雑煮・年越しそばは食べる家庭も多い |
| 新年のあいさつ | 「おめでとう」を避ける | 「本年もよろしくお願いします」など |
| お年玉 | 渡してもよいとされることが多い | ポチ袋を無地にするなどの配慮も |
| 初詣 | 忌明け後は可 | 本記事の判定表を参照 |
通常のお正月の過ごし方や初詣の作法は、元日と初詣の作法で詳しく紹介しています。
喪中の初詣・神社参拝のよくある質問
- Q喪中でも神社やお寺への初詣は可能ですか?
- A
忌が明けていれば、喪中でも神社・お寺とも初詣は可能です。神社本庁は、慣例がない場合は五十日祭までを「忌」、一年祭(一周忌)までを「服(喪)」とし、参拝を遠慮するのは忌の期間としています。お寺は忌中でもお参りできるのが一般的です。
- Q喪中の初詣はなぜダメと言われるのですか?
- A
神道では死を穢れ(気枯れ)ととらえ、身内を亡くした直後の忌中は神さまの前に出るのを慎むとされてきたためです。この「忌中は控える」が「喪中は控える」と広まったと考えられます。忌明け後の喪中は参拝してかまいません。
- Q祖父母が亡くなった場合、神社参拝はいつからできますか?
- A
神社本庁は、父母以外の具体的な日数は示しておらず「地域に慣例がある場合はその慣例に従う」としています。慣例がなければ、五十日祭(亡くなった日から約50日)を過ぎてからが目安です。同居していたかどうかなどで考え方が変わる地域もあるので、迷ったら参拝先の神社に確認しましょう。
- Q喪中に神社に行ってしまったらどうすればいいですか?
- A
忌明け後の喪中であれば問題ありません。忌中に行ってしまった場合も過度に心配せず、気になるなら忌明け後に改めてお参りするか、神社に相談してお祓いを受けましょう。神社本庁も、やむを得ない場合はお祓いを受けてから参拝するのがよいとしています。
- Q喪中に厄払いやお守りを受けてもいいですか?
- A
忌が明けていれば問題ありません。忌中の場合は、神社での厄祓いやお守りは忌明け後に受けましょう。厄祓いには「いつまでに受けなければならない」という決まりはないので、元日に行けなくても大丈夫です。
まとめ|喪中の初詣は「忌明け」を基準に考える
- 神社を控えるのは「忌中」(目安は五十日祭まで)。忌明け後の喪中は神社に初詣してよい
- お寺は忌中でもお参りできるのが一般的。浄土真宗には忌中の考え方自体がない
- 2027年の元日が忌中にあたるのは、おおむね2026年11月13日以降に亡くなった場合
- 鳥居をくぐらないのも本来は忌中の話。忌明け後はふだんどおり参拝してよい
- 忌中にやむを得ず神社へ行くときは、お祓いを受けてから(神社本庁)
- お守り・お札・厄払いは忌明け後に。忌中の間は神棚のおまつりを中断する
- 地域の慣例がある場合はそれに従い、迷ったら参拝先に確認する
喪中のお正月は、故人を偲びながら静かに新しい年を迎える時間です。忌明けを待って、落ち着いた気持ちで神社やお寺にお参りし、故人への感謝と家族の健康を祈りましょう。
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お寺用・神社用の使い分けや選び方は本文で解説しています。

