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手水の作法と手順|4つの動きと柄杓なし・花手水での清め方

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鳥居をくぐってすぐ、屋根の下に水をたたえた石の鉢があります。前の人が柄杓を手に取った。さて、右手だったか左手だったか。後ろにも人が並んでいて、見よう見まねで済ませてしまう。

手水(てみず・ちょうず)は、参拝の前に手と口を水で清めるための作法です。動きは「左手、右手、口、左手」の4つ。順番さえ体が覚えれば、柄杓がない手水舎でも、花が浮かぶ手水鉢の前でも迷いません。

神社本庁と伊勢神宮が公式に示している手順を並べ、細かな違い、柄杓を置かない手水舎での動き、お寺や式典の場合までを順に見ていきます。参拝全体の流れは鳥居のくぐり方、拝殿の前での作法は二礼二拍手一礼のやり方にまとめています。

手水は「左手・右手・口・左手」の4動作

神社本庁の案内では、手水は3つの動きで説明されています。右手で柄杓を取って左手を洗い、持ち替えて右手を洗い、もう一度持ち替えて左の手のひらに水を受け、口をすすぐ。すすぎ終えたら、残った水をもう一度左手に流します。(出典: 神社本庁『参拝方法』)

つまり左手は2回清めることになります。最初は手そのものを、最後は口元に触れた手を。こう覚えると、最後の動きを忘れにくくなります。

手水の流れ。最後に柄杓の柄を流すかどうかは神社によって案内が異なる
手水の流れ。最後に柄杓の柄を流すかどうかは神社によって案内が異なる

伊勢神宮の案内は、最初に「たっぷりと水をくみ」と書いています。途中でくみ直す動きは書かれていないので、一杯で最後まで済ませる前提と読めます。(出典: 神宮(伊勢神宮)『参拝の作法とマナー』)

一杯を4つの動きに配分する。最初は少し難しく感じるかもしれません。目安としては、左手に3割、右手に3割、口用に2割、残りを最後の左手と柄に回すくらいの感覚です。これは編集部の目安で、決まりではありません。

ひとつずつ、手の動きを分けてみる

1 手水舎の前に立つ

手水舎に着いたら、軽く会釈をしてから水盤の前へ。帽子は手水の前に取っておくと、口をすすぐときに邪魔になりません。カバンは肩に掛けるか、足元に置かずに体の後ろへ回すと両手が空きます。

混んでいるときは、水盤の端から順に並びます。柄杓は手水舎に何本も伏せてあるので、自分の前の1本を使えば十分です。

2 右手で柄杓を持ち、左手を清める

右手で柄杓の柄を持ち、水をくみます。そのまま左手に水をかける。このとき、かけた水が水盤に戻らないよう、水盤の外側、下の排水溝の上で手を洗うのが作法です。神社本庁も「水盤に水が入らないように注意」と書いています。(出典: 神社本庁『参拝方法』)

水盤の水は、後から来る人も使う水です。

3 左手に持ち替え、右手を清める

柄杓を左手に持ち替え、右手に水をかけます。左利きの人も、ここは同じ順番で大丈夫。神社本庁、伊勢神宮のどちらの案内も、利き手による違いには触れていません。

4 右手に戻し、口をすすぐ

再び右手に柄杓を持ち、左の手のひらを丸めて水を受けます。その水を口に含み、静かにすすぐ。神社本庁、伊勢神宮のどちらも、柄杓に直接口をつけないよう書いています。(出典: 神社本庁『参拝方法』、神宮(伊勢神宮)『参拝の作法とマナー』)

すすいだ水は、左手で口元を隠しながら、排水溝のほうへそっと出します。勢いよく吐き出さない。人の多い手水舎ほど、この動きの静かさが目に入ります。

5 もう一度、左手を清める

口元に当てた左手に、残った水をかけます。神社本庁の案内は、ここで手順を終えています。

6 柄杓の柄を流して、元に戻す

伊勢神宮の案内には、もうひとつ動きがあります。残った水で柄杓の柄を洗い清め、元の場所に戻す。柄杓を立てるように傾けると、器に残った水が柄を伝って流れ落ちます。(出典: 神宮(伊勢神宮)『参拝の作法とマナー』)

終わったら柄杓を伏せて置き、ハンカチで手と口元を拭いて、拝殿へ向かいます。

神社本庁と伊勢神宮、案内はどこが違う?

2つの公式案内を並べると、基本の順番は同じです。違いは水のくみ方の書き方と、最後の柄杓の扱いでした。

動き神社本庁伊勢神宮ちがい
水をくむ右手で柄杓を取り、水を汲む右手で柄杓を持ち、たっぷりと水をくむ伊勢は「たっぷり」と明記
左手→右手左手を洗い、持ち替えて右手左手を清め、持ち替えて右手同じ
口をすすぐ左手に受けてすすぐ。柄杓に口をつけない左手で受けてすすぐ。柄杓は直接口につけない同じ
最後の左手すすぎ終えた水をもう一度左手に流す改めて左手を清める同じ
柄杓の柄記載なし残った水で柄を洗い清め、元に戻す伊勢のみ記載

出典: 神社本庁『参拝方法』、神宮(伊勢神宮)『参拝の作法とマナー』

柄を流すのは、次に使う人が握る部分を清めておく動きです。神社本庁の案内に無いからといって、やってはいけないわけではありません。編集部は、柄を流すほうをおすすめしています。水盤の外で済む動きなので、後ろの人を待たせることもほとんどありません。

神社ごとに手水舎の脇へ作法の掲示を出しているところもあります。大國魂神社(東京都府中市)のように公式サイトで手水の作法を案内している神社もあるので、初めての神社では掲示を一度見てから柄杓を取ると確実です。

やりがちな5つのつまずき

手水でつまずく場面は、だいたい決まっています。気にしなくていいことと合わせて表にしました。

よくあることどうする気にしすぎなくていいこと
柄杓に直接口をつけてしまった次からは左手に受ける。その柄杓は柄まで流して戻す一度の失敗で参拝をやり直す必要はない
水盤の中で手を洗ってしまった以後は水盤の外、排水溝の上で慌てて謝って回る必要はない
途中で水が足りなくなったもう一度くみ直してよい一杯で済ませるのは目安
口をすすぐのに抵抗がある口元に左手を添えるだけにする人もいる体調や衛生面が気になる日は無理をしない
混んでいて後ろが詰まっている左右の手だけ清めて譲る全員が完璧な所作をしているわけではない

口をすすぐことについては、意見が分かれるところです。神社本庁も伊勢神宮も手順として示していますが、冬の冷たい水や体調によっては、口元に手を添えて形だけにとどめる人もいます。私たちは、気持ちが落ち着く範囲で行えば十分だと考えています。

柄杓に口をつけない/水盤に水を戻さない。この2つさえ守れば、細かな順番を一つ間違えても周りに迷惑はかからない。

御朱印帳・参拝グッズを探す

お寺用・神社用の使い分けや選び方は本文で解説しています。

柄杓が置いていない手水舎では

2020年からの新型コロナの流行で、手水舎の利用を止めたり、柄杓を撤去したりする社寺が相次ぎました。三重県観光連盟の記事は、手水舎の利用中止が続いた時期に、代わりに花を飾って目で見て心を清めてもらう工夫として花手水が広まった、と紹介しています。(出典: 三重県観光連盟『花手水とは?』(2025年))

柄杓を置かず、竹の筒や龍の口から水を流し続ける「流水式」に切り替えた手水舎もあります。

流水式での動き

柄杓がなくても、順番は同じです。流れ落ちる水に左手を出し、次に右手。左手を丸めて水を受けて口をすすぎ、最後にもう一度左手を流水にくぐらせる。柄杓を清める動きが無くなるだけです。

両手を一度に差し出してこすり洗いをする人を見かけますが、手水は手洗いとは少し違います。片手ずつ。それだけで、動きがぐっと手水らしくなります。

水が止まっている・手水舎そのものがない

手水舎があっても、冬場の凍結防止や工事で水を止めている場合があります。そういうときは、手水舎の前で一礼して通り過ぎるだけでもかまいません。手水舎がない小さな神社では、そのまま参道を進みます。

ペットボトルの水やウェットティッシュで代わりに手を清める人もいます。境内で水をこぼすなら、植え込みや参道の真ん中は避け、排水のある場所を選びます。

花が浮かぶ「花手水」、使ってもいい?

手水鉢に季節の花を浮かべたものを花手水(はなちょうず)と呼びます。三重県観光連盟によると、言葉としての「花手水」はもともと、花や葉に残る朝露で手や身を清めることを指していました。いまの形の始まりとされるのは、京都・長岡京市の柳谷観音 楊谷寺で、執事が手水鉢に浮かべた紫陽花を「花手水」と呼んだことだといいます。(出典: 三重県観光連盟『花手水とは?』(2025年))

楊谷寺は公式サイトで「花手水発祥の地」を名乗っています。同じ記事は、2018〜2019年ごろにはInstagramに「#花手水」が登場していたとも書いており、コロナ禍より前から始まっていたことがわかります。(出典: 柳谷観音 楊谷寺 公式サイト、三重県観光連盟『花手水とは?』(2025年))

では、花の浮かぶ鉢で手を清めてよいのか。答えは社寺によって違います。手水舎の機能を残したまま花を添えている所もあれば、手水鉢を飾り専用にして、清めの水は別の場所に用意している所もあります。

編集部の考えでは、花に水がかかる位置で柄杓を使うのは避けたほうが無難です。掲示があればそれに従い、何も書かれていなければ、手を清めるのは別の蛇口や流水式の水口で。花手水は眺めて、写真を撮る場所と割り切るのが一番迷いません。

三重県の花手水、始まった時期

三重県観光連盟の記事は、県内で花手水を始めた社寺の時期も挙げています。コロナ禍の最初の冬に始めた神社が並んでいるのが目を引きます。

社寺所在地花手水を始めた時期など
彌都加伎神社鈴鹿市2020年11月23日から花手水と和傘の展示
竹神社明和町2020年12月から
都波岐奈加等神社鈴鹿市2021年10月、例大祭の中止をきっかけに
法盛寺(浄土真宗)桑名市水鉢に四季の花を飾る

出典: 三重県観光連盟『花手水とは?』(2025年)。三重県のほかの社寺は三重県の神社・お寺から探せます。

楊谷寺をたずねるなら

楊谷寺の所在地は京都府長岡京市浄土谷堂ノ谷2。公式サイトでは、開門は9時から17時(最終受付16時30分)と案内されています。公式サイトの案内では、紅葉の時期の「もみじウイーク」は11月14日から12月6日までで、期間中の拝観料は1,000円、上書院を含むと2,000円、高校生以下は無料です。(出典: 柳谷観音 楊谷寺 公式サイト)

柳谷観音 楊谷寺(京都府長岡京市)。公式サイトで「花手水発祥の地」を名乗る

京都のほかの社寺は京都府の神社・お寺にまとめています。

お寺の手水と、地鎮祭などの式典での手水

手水は、國學院大學の神道事典では「神社で参拝する前に手と口を水で清めること」と説明され、その建物が手水舎だとされています。(出典: 國學院大學『Encyclopedia of Shinto: Temizu』)

ただ、成田山新勝寺(千葉県成田市)のように手水舎を設けているお寺もあります。手水舎があれば、作法は神社と同じ順番で行ってかまいません。お寺で違ってくるのは、拝む場面です。拍手は打たず、合掌します。違いの全体は神社とお寺の違いとお寺の参拝作法で確かめられます。

地鎮祭や竣工式、神前結婚式のように、境内の外で神事を行う場では、会場の入口に手水の用意がされることがあります。係の人が柄杓で水をかけてくれる場合は、左手、右手の順に差し出し、最後に左手で水を受けて口元を清める。順番は境内の手水と変わりません。

式典では、手水の受け方を事前に案内してもらえることがほとんどです。わからなければ、前の人の動きに合わせれば十分。

手水のために持っていくもの

手水に特別な道具はいりません。ただ、ハンカチがないと、濡れた手でお賽銭を出すことになります。

  • ハンカチ(手と口元を拭く。タオルハンカチだと冬場も安心)
  • 小銭入れ(手を拭いた後にすぐ出せる場所へ。金額の考え方はお賽銭の金額と入れ方)
  • 御朱印帳(濡れた手で触れないよう、手水の前にカバンの奥へ。選び方は御朱印帳の選び方)

冬の朝は水がかなり冷たくなります。早朝に参拝する予定なら、参拝時間とあわせて神社のお参りは何時まで?も確認しておくと段取りが組みやすくなります。

細かい疑問に答えます

Q
手水舎の水を飲んでもいいですか?
A

手水舎の水は、手と口を清めるための水です。神社本庁の案内も「すすぐ」動きとして書いているので、口に含んだ水はすすいだ後に出します。飲めるかどうかの掲示がある場合は、そちらに従ってください。

Q
手袋をしたままでもいいですか?
A

手水の前に外します。手を清める作法なので、手袋の上から水をかけても意味が薄れてしまいます。冬場は外した手袋をポケットに入れておき、拭いてからまた着けるとよいでしょう。

Q
子どもにも手水をさせたほうがいいですか?
A

小さな子どもは、大人が柄杓を持って手に水をかけてあげる形で十分です。口をすすぐ動きは省いてもかまいません。順番を覚えるのは、何度か参拝するうちで間に合います。

Q
お寺でも手水は必要ですか?
A

手水舎があるお寺では、神社と同じ順番で手と口を清めます。手水舎のないお寺も多く、その場合はそのまま本堂へ進みます。

Q
ご祈祷を受ける日も、手水は境内でしますか?
A

はい。社務所で受付をする前に、手水舎で手と口を清めておきます。服装や受付の流れは厄払いの料金・服装・時期にまとめています。

Q
手水舎で手を清めたあと、どこに行けばいいですか?
A

拝殿で参拝します。お守りや御朱印はその後に。御朱印の受け方は御朱印のもらい方とマナー、古いお守りを返す場合はお守りの返納方法が参考になります。

迷ったときは、左から

手水の順番は、左手・右手・口・左手。柄杓に口をつけず、水盤に水を戻さない。柄杓がなければ流水で同じ順番を、花手水なら掲示を見てから。覚えておくことはこれだけです。

手水舎の前で一呼吸おくと、そのあとの参拝が落ち着いたものになります。明治神宮(東京都渋谷区)や伊勢神宮内宮(三重県伊勢市)のような大きな神社でも、近所の小さな神社でも、手水の順番は同じ。東京近郊の神社は東京都の神社・お寺から探せます。

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お寺用・神社用の使い分けや選び方は本文で解説しています。

参考・出典

参照日: 2026年10月25日

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全国の神社・お寺のデータベースを運営し、御朱印・参拝作法・年中行事・お墓・葬儀のマナーを、神社本庁・各宗派・寺社公式・自治体の情報にもとづいて解説しています。

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